第2四半期のGDP、3期連続のマイナス成長

(チリ)

サンティアゴ発

2023年08月25日

チリ中央銀行の発表(818日)によると、2023年第2四半期(46月)の実質GDP成長率は前年同期比マイナス1.1%となり、2022年第4四半期から3期連続のマイナス成長となった。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需が前年同期比5.6%減となった(添付資料表1参照)。これは民間消費の落ち込みによるもので、主に衣料品、食品関連への支出減少や、自動車、コンピュータ、携帯電話などの耐久財の購入減少によるものだった。総固定資本形成は、設備投資の増加により、1.6%増だった。一方で、建設・その他の投資は、専門的サービスの需要が減少したことにより、1.6%減となった。

財・サービスの輸出入は、どちらも前年同期比でマイナス成長となった。輸出は2022年第1四半期以来となるマイナス成長で、木材製品やワインを中心とした工業品、ブドウやリンゴなどの果物、主要輸出品の銅の輸出が減少したことにより、1.2%減となった。輸入は、自動車、化学製品、燃料の輸入が減少したため、13.2%減となった。

成長率を経済活動別にみると、寄与率が高かったのは商業(寄与率:218.4%)、運輸(105.5%)、製造業(82.6%)、鉱業(40.1%)の順だった(添付資料表2参照)。商業は前年同期比5.2%減となり、特に小売業と自動車業界における販売が減少した。小売業はスーパーマーケットやショッピングモールにおける売り上げの減少、自動車業界は自動車販売の減少に加え、自動車メンテナンスやスペアパーツの販売需要の減少も影響した。鉱業は、主要鉱山における鉱石の品質低下、悪天候やメンテナンスによる操業中断により生産量が低下し、1.2%減となった。

一方で、電気・ガス・水道は、水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電が促進されたことで、前年同期比9.3%増となった。

中央銀行は6月に発表した金融政策報告書の中で、2023年通年のGDP成長率はマイナス0.50.25%になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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