原産地証明書のセルフプリント・システムが実現へ

(ASEAN、タイ)

バンコク発

2023年08月10日

タイの原産地証明書(C/O)発給当局である商務省外国貿易局(DFT)は7月11日、同局のシステムである「スマートC/O」のプラットフォームをアップデートし、C/O発給にかかるペーパーレスサービスを強化することを明らかにした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同措置により、企業はFTAなど貿易協定にかかるC/Oを自ら印刷できるようになる(セルフプリント・システム)。従来、企業はDFTの窓口までC/Oを受け取りに行く必要があったが、あらゆる種類のC/Oを自分で印刷(セルフプリント)できるようになる。

DFTは特恵C/O、非特恵C/Oを合わせて年間100万件以上のC/Oを発行している。2022年の実績では114万850件のC/Oを発行した。DFTは、スマートC/Oによりペーパーレス化が推進され、「事業者の利便性が向上する」としている。

ASEANシングルウィンドウのデータ構造が刷新

今回のシステムのアップグレードは、ASEAN加盟国からの輸入物品に添付されるASEAN物品貿易協定(ATIGA)の電子C/O(eフォームD)のシステム改修に連動したもので、eフォームDとスマートC/Oのシステム統合に伴う措置だ。

DFTによると、2020年からASEAN全体でASEANシングルウィンドウ(ASW)を通じたeフォームD交換を実施しているが、仕向け地の税関においてデータ確認が遅れるといった問題があった。2021年のASEAN内での会議体であるASW運営委員会(ASWSC)において、eフォームDの新たなデータ構造(ATIGA e-Form D inside Common Header MIG v.3.1.3)の採用が合意された。標準化されたフォーマットによって改善が施されており、仕向け地の税関における確認作業が効率化され、通関手続きの短縮が期待されている。現在、ASW技術作業部会(ASW-TWG)が、新たなデータ構造の下、システム試験を実施している。この試験運用には時間を要するため、C/Oセルフプリントの運用が先行開始される。

DFTは、新たなデータシステムの下での電子情報の交換に備え、ASEAN加盟国からの輸入に伴って、輸出国の当局から発給されたe-Form D情報を「スマートC/O」システムに連結する。そうすることで、新システムでは、企業が連続する原産地証明書(バック・トゥ・バック)や累積ルールを利用する際、これまでのように当初輸出国で発行されたForm Dを証憑(しょうひょう)書類としてDFTに提出する必要がなくなる。

なお、ASWに関して、ASEAN事務局が9月12日まで、ASEAN域内の事業者を対象とした、電子フォームDの利用に関する調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを実施している。同調査は貿易事業者のニーズに合わせ、ASWの効率性を改善するために活用される。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(ASEAN、タイ)

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