深セン市、世界一流の自動車都市の建設に向けた計画を発表

(中国)

広州発

2023年08月14日

中国の広東省深セン市工業情報化局は8月3日、「世界一流の自動車都市の建設を加速するための3年行動計画(2023~2025年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、計画)を発表した。同計画は、自動車産業復興の機会を捉え、深セン市の新エネルギー自動車(NEV)産業を経済成長の新たな柱にするために制定された。

同計画では、2025年までのNEVの発展目標として、同市のNEVの年間生産台数を200万台以上とし、自動車産業の工業生産額は1兆元(約20兆円、1元=約20円)規模にするとした。また、同市におけるNEVの保有台数目標を130万台としたほか、新車市場におけるNEVのシェアを70%に、NEVの年間輸出台数を60万台以上にすることも目標として示された。NEVの関連設備については、充電スタンド数を60万基に、急速充電ステーション数を300カ所とすることを目指す。

こうした目標に加え、計画では次のとおり10項目の重点任務を掲げた。

(1)自動車の組立・デジタル化製造技術、新世代の電池技術、モーターコントローラーなどのコア技術のイノベーション発展を促進する。

(2)自動車研究開発プラットフォームや安全かつ管理可能なデジタル監督管理プラットフォームを構築し、NEV用の電池供給インフラの配置を最適化するなど、産業発展の基盤を構築する。

(3)広東省東部の汕頭市と共同運営する「深汕特別合作区」では、世界レベルの自動車製造エリアを建設し、深セン市坪山区・龍崗区・南山区・宝安区では、自動車の研究開発センターを建設するなど、産業集積地の配置を最適化する。

(4)自動車産業チェーンの完備や、電池などの優位性がある産業の促進、燃料電池・自動運転などの新興産業の強化、自動車のスマート化・デジタル化の促進などによって産業の規模拡大と質の向上を図る。

(5)人工知能(AI)や高度な通信技術で安全性や効率性の高い自動運転を可能とするインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)の応用を加速し、ICVの先行導入区の建設と管理システムの構築を促進する。

(6)自動車製造における再生可能エネルギーの利用、自動車メーカー・充電ステーション運営会社・電力企業の企業間の提携、電池材料などの資源回収・利用を促進する。

(7)NEVナンバープレートの申請条件の緩和によってNEVを普及させ、公用車・物流車などのNEV化を促進し、水素燃料電池自動車の重量物および長距離交通輸送などの分野での実証と応用を推進する。

(8)自動車の国際交流・協力プラットフォームや大規模な輸出基地を構築することで企業の海外進出を強化する。

(9)NEVの国家検査認証プラットフォームや、新技術・新製品向けの標準プラットフォームなどを構築するなど、品質の標準化を支援する。

(10)自動車のテーマパークや展示センターなどの建設を支援し、新たな自動車販売モデルと中古車取引市場の発展を促進する。

(梁梓園)

(中国)

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