7月の物価上昇率は前月比6.3%、8月以降は大幅な加速を懸念

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年08月18日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は815日、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は全国平均値で前月比6.3%だったと発表 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます した。6月のCPI上昇率6.0%からわずかに加速しており、814日に自国通貨ペソが約2割切り下げられたため、8月と9月にはさらに大幅な加速が見込まれる。前年同月比(年率)では113.4%と6カ月連続で100%を超えた(添付資料図参照)。17月累計の物価上昇率は60.2%に達した。

前月比の伸び率を7月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは5.1%増で、6月の1.8%増に比べて大きく加速した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは6.7%増で、前月の7.2%増からは鈍化した。季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は、前月と同じ水準で6.5%増となった。

前月比の伸び率を費目別にみると、上昇率が高かったのは、通信の12.2%増、冬休みの影響で娯楽・文化の11.2%増、酒類・たばこと医療・健康の9.0%増だった。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は5.8%増で、パン類や牛肉の値上げが影響したとみられる(添付資料表1参照)。

8月以降のCPI上昇率の見通しは、7月下旬から続いているペソの下落によって大きく加速する、と多くの民間エコノミストらが予測している。727日には非公式為替レートが1ドル=550ペソまで下落し、8月に入ってもペソの下落は続いた。大統領予備選挙(2023年8月15日記事参照)が実施された13日の2日前は1ドル=605ペソだったが、予備選挙翌日の14日には一時690ペソまで急落した。また同日、中央銀行は政策金利を21ポイント引き上げて118%にするとともに、公定為替レートを約22%切り下げた。817日現在、並行為替レートも755ペソと大幅に下落している。815日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)によると、民間エコノミストらの見通しでは、8月の物価上昇率は1012%、9月は910%で、2カ月間で最低でも22%上昇するという。

ジェトロが817日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)では、品目によっては大幅な物価上昇が確認された。特に、家電類では欠品が多くみられ、価格も大幅に上昇した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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