統計局、正規雇用者の月額賃金データを初公表

(マレーシア)

調査部アジア大洋州課

2023年08月21日

マレーシア統計局は8月4日、2023年第1四半期(1~3月)の正規雇用者の月額賃金統計PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。従来、年次の賃金データを発表していたが、詳細な賃金統計を求めるニーズの高まりを受け、初めて四半期各月ベースで公開した。

統計局によると、2023年3月の正規雇用者約645万600人の月額賃金中央値は2,600リンギ(約8万600円、1リンギ=約31円)だった(注)。年齢階層別にみると、正規雇用者全体の約20%を占める40~49歳が最も高く、3,500リンギだった。

地域別でみると(添付資料表1参照)、首都クアラルンプールは3,927リンギで最も高い。経済の中心といわれる西海岸エリアでは、セランゴール州が2,964リンギ、ペナン州が2,627リンギと国全体の中央値を上回った。シンガポールとの国境に接するジョホール州は2,400リンギだった。東マレーシアでは、サラワク州が2,000リンギ、サバ州が1,782リンギとなった。なお、最も低いのはマレー半島の東海岸に位置するクランタン州で1,600リンギだった。

業種別でみると、鉱業・砕石業が7,500リンギと最も高く、続いて建設業が2,764リンギ、サービス業が2,627リンギ、製造業が2,444リンギ、農業が1,900リンギだった。

前年の同じ月と比較し、2023年1~3月は各月が労働者数、月額賃金中央値ともに増えている(添付資料表2参照)ことを踏まえ、統計局は「世界経済の不透明性に反してマレーシアの労働市場は拡大している」とした。

政府、労働市場と賃金システムの改善に言及

本統計の発表後、ラフィジ・ラムリ経済相はメディアに向けて、「約645万人の正規労働者のうち約82%が月額5,000リンギ以下、約35%が2,000リンギ以下だ」と、マレーシアの大半の労働者の賃金が低水準であるとの認識を示した。アンワル・イブラヒム首相兼財務相は「労働者が常に高い賃金を得られるよう労働市場を改善し、賃金システムをより均衡のとれたものにしていく」とした。政府は2年に1回、最低賃金見直しを行っており、2022年5月には約25%引き上げ1,500リンギとしていた(2022年5月2日記事参照)。

(注)雇用主と契約を交わし、雇用状態にある労働者のうちマレーシア国民が調査対象。データは従業員積立基金制度や社会保障機構など行政が保有する情報を活用しており、賃金はボーナスや手当など調査対象期間内に支給された全てを含む。

(小山千紗子)

(マレーシア)

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