第2四半期GDP成長率、前年同期比3.6%と好調
(メキシコ)
メキシコ発
2023年08月02日
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は7月31日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)について、前年同期比3.6%、季節調整済み前期比0.9%と発表した。
主要産業別の成長率をみると、全ての産業でプラス成長となり、第一次産業(農牧林水産業)は前年同期比2.5%、前期比0.8%、第二次産業(鉱工業)は前年同期比2.6%、前期比0.8%、第三次産業(サービス産業)も前年同期比4.1%、前期比1.0%と、第1四半期(1~3月)に続いて好調な伸びを見せた。
中央銀行が8月1日に発表した国内外37の民間シンクタンクを対象としたアンケート(7月20~28日実施)で、同四半期の実質GDP成長率見通し(前年同期比)は平均3.01%だったが、それを上回る数値となった。また、実質GDP成長率の年間見通しの平均値は、6月時点のアンケートでは2.26%だったが、7月では2.59%まで上昇している。
さらなる経済成長のカギは政治や法の安定性確保
中銀のアンケートで経済成長の阻害要因として挙げられた上位3項目は、「治安の問題」(24%)、「法の支配の欠如」(12%)、「政治の不確実性」(9%)だった。3つの項目を含む「ガバナンス」の合計は全体の57%を占めており、国内政治の動向が経済に悪影響を及ぼす可能性を示唆している。
メキシコ財務幹部協会(IMEF)は第1、第2四半期の好調なGDP成長率を受けて、「米国の経済予想の改善、個人消費や総固定資本投資の回復が見られれば、GDP成長率の年平均3%に近づく」とした。また、メキシコは生産拠点を消費地の近隣国に移転するニアショアリングのポテンシャルを享受しきれていないとし、「ニアショアリングを最大限活用するために、適切なエネルギー政策の採用、法的安定性の確保、適切なインフラ開発、法の支配の強化、投資家に有益なエコステムなどが必要」と強調している(「エル・エコノミスタ」紙8月1日)。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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