中国政府、国レベルの水素エネルギー規格標準化のためのガイドラインを公表

(中国)

大連発

2023年08月15日

中国の国家標準委員会、国家発展改革委員会、工業情報化部、生態環境部、危機管理部、国家エネルギー管理局の6部門は8月8日、「水素エネルギー産業標準体系建設ガイドライン(2023年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、ガイドライン)を共同で発表した。本ガイドラインは、水素エネルギーのサプライチェーンの標準体系に関する初めての国家レベルのガイドラインだ。

水素は環境に優しいエネルギー資源として利活用が進められている。中国ではカーボンピークアウトやカーボンニュートラルの目標を達成するため、クリーンで低炭素な、安全かつ効率的なエネルギーシステムを構築することが急務となっている。本ガイドラインでは、水素エネルギーのサプライチェーンを体系的に構築するため、次の5つの分野に整理して具体的な方策を示し、基準の統一を図っている。

(1)産業基盤と安全性

専門用語の定義、記号、水素エネルギーの総合評価、水素品質、共通部品、水素の安全要件などの基本的な共通規格と、関連素材、シール材、安全リスク評価、安全保護、監視と早期警報、緊急対応など安全に関する規格を策定する。

(2)製造

水素の分離と精製、水電解による水素製造、光触媒分解由来の水素製造など、水素の製造に関する規格の策定や改定を推進する。

(3)貯蔵・輸送

水素の圧縮、水素の液体化、天然ガスとの混合、固体水素貯蔵材料など、輸送に関する基本要件に加え、容器、ボンベ、パイプラインなど、水素貯蔵や輸送設備、システムの規格を策定し、安全かつ効率的な水素貯蔵・輸送のための規格の策定や改定を推進する。

(4)充填(じゅうてん)

水素ステーションの設備、システムおよび運営・安全管理に関する規格を含め、水素ステーションの安全性や信頼性、効率性の向上に係る規格の策定や改定を推進する。

(5)応用

燃料電池、水素内燃機関、水素ボイラー、水素ガスタービンなど水素エネルギーの活用に係る設備や部品の規格に加え、交通、エネルギー貯蔵、発電システム、原子力産業の分野における水素エネルギーの応用に関する規格を含め、水素エネルギーの新たな技術、生産工程、安全に関連する規格の策定や改定を推進する。

また本ガイドラインでは、今後3年間の重点タスクとして、水素エネルギーの規格について国内外で標準化を推進するとされた。

(李莉)

(中国)

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