サンパウロ証券取引所、中南米初のジェンダー・人種多様性推進企業株価指数を導入

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年08月29日

サンパウロ証券取引所(B3)は8月15日、ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みとしてジェンダー・人種の面で多様性を推進する企業の株価をまとめた新たな株価指数「イディベルサ」(IDIVERSA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の導入を発表した。

株式会社を選ぶ指標として、性別や人種の多様性への対応度合いを取り入れた指数は中南米では初となる。B3は導入の目的として、多様性の尊重に貢献する企業の努力を可視化し評価すること、女性、黒人、先住民がビジネスでより積極的に活躍できるように促すことを挙げている。

イディベルサ指数は、現時点で75社(79銘柄)を対象としている。対象企業・銘柄は証券取引委員会(CVM)が管理する各企業の登録データ(注1)から次の条件を満たすものが選定されている。

  1. 経営審議会に最低1人以上の女性もしくは黒人、先住民が含まれていること
  2. 取締役会に最低1人以上の女性もしくは黒人、先住民が含まれていること
  3. 同分野の企業と比較した場合、女性・黒人・先住民の採用割合が平均以上であること
  4. 「ペニー・ストック」(注2)でないこと
  5. 取引頻度の高い銘柄(注3)
  6. B3において95%の取引日で取引されることが必要(注3)

現在、同指標には、国営石油会社ペトロブラス、大手航空会社アズール、スペイン大手銀行サンタンデールなどが含まれている。

B3は8月8日、CVMのデータを基にした同取引所上場企業343社の多様性に関する調査を発表した。取締役会に女性がいない企業が55%、経営審議会に女性がいない企業が36%、取締役会あるいは経営審議会に黒人がいない企業が89%、取締役会あるいは経営審議会に先住民がいる企業は1社のみとの結果だった。

B3のアナ・ブシャイム人事・広報・マーケティング・社会投資担当執行役員は8月15日付現地紙「バロール」のインタビューで、「本指数はジェンダーや人種問題に配慮した上で実績を上げている企業を探している投資家にとって役立つだろう」と述べた。

(注1)2021年12月22日付CVM決議第59号(2023年1月2日から施行)により、企業がCVMに登録する際、人材のジェンダー・人種に関する情報(総数のみ)を提供する義務がある。

(注2)1株当たり1レアル未満で取引される株式のこと。

(注3)取引頻度はB3の「取引の簡易性指数」を用いて決定される。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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