世界銀行、電力分野改革を通じウズベキスタンの温室効果ガス削減を支援

(ウズベキスタン)

タシケント発

2023年08月22日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は8月8日、大統領決定第271号「世界銀行参加プロジェクト『エネルギー改革のための革新的炭素資源の活用』実施措置について」に署名した。ウズベキスタン政府は世界銀行からの資金供与を受け、温室効果ガスの排出削減、電力卸売取引所の創設(2022年7月12日記事参照)、電力料金制度の改革(2019年7月16日記事参照)などを加速させる。

世界銀行が供与する4,625万ドルの無償資金のうち、1,500万ドルを気候変動に関する国連枠組み条約(UNFCCC)の要求事項に沿ったモニタリング・報告・検証システムの構築に、3,000万ドルをウズベキスタンのエネルギー分野・料金体系の改革に振り向ける(添付資料表参照)。

世界銀行は、プロジェクト実施を通じて二酸化炭素の年間排出量が6,000万トン削減され、うち200万~250万トンはウズベキスタンが本プログラムの枠内で購入し、残りは国際炭素市場で売却可能と想定している。世界銀行の担当者は8月15日、ジェトロのインタビューに対し、「このプロジェクトは、パリ協定(注)下で中央アジア初となるカーボンファイナンス・イニシアチブであり、ウズベキスタンのエネルギー部門の発展に与える影響は非常に大きい」とその意義を強調した。

ウズベキスタンで温室効果ガス排出量の削減とグリーン経済推進を担当するのは経済財務省で、8月3日にはジャムシド・クチカロフ副首相が兼務で同大臣に就任している。

なお、日本とウズベキスタンの両政府間では2022年10月25日に「二国間クレジット制度(JCM)の構築に係る日・ウズベキスタン間の協力覚書」が署名され、経済産業省が実現可能性調査(FS)の企画募集を開始するなど、協力に向けた準備が行われている。

(注)2015年に取り決められ、2016年に発効した、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン)

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