日本政府は輸出禁止措置を拡大、中古車も輸出禁止に

(ロシア)

調査部欧州課

2023年08月14日

日本政府は8月9日、米国や欧州と足並みをそろえるかたちでロシアに対する輸出禁止措置を拡大した。「化学工業生産品」や「鉄鋼」「輸送用の機械およびその部分品」など合わせて758品目が輸出禁止措置の対象品目として追加された。

中でも「輸送用の機械およびその部分品」については、今回新たに排気量1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)なども輸出禁止品目として追加された。ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア向けの中古自動車輸出は増加傾向にあったことから(2022年8月26日記事2023年4月26日記事参照)、今回の輸出禁止措置拡大は一定の影響があるとみられる。2022年の日本からのロシア向け中古自動車輸出台数は20万4,672台に上り、前年比では33.5%増だった(添付資料表参照)。自動車調査会社アフトスタトの会議において、同社のエグゼクティブディレクター、セルゲイ・ウダロフ氏が語ったところによると、2023年7月にロシアに輸入された中古自動車のうち1900ccを超えるエンジンを搭載した日本車は約10%を占めたという(「オートニュース」8月9日)。

EU理事会も6月23日に第11弾となる対ロシア制裁パッケージを採択(2023年6月28日記事参照)、翌24日から導入された。制裁強化の一環として新たに排気量が1900ccを超えるガソリンエンジン車や全てのEVなども輸出禁止対象品目に加えられ、日本はこれに追従するかたちとなった。

これらの措置に対し、ロシア国内では強気な意見もある。EUが輸出禁止措置を発表した際には、ロシア外務省のマリア・ザハロワ広報官が6月23日に通信アプリ上で「ロシアへの自動車輸出禁止措置の拡大が、『ロシアに戦略的敗北を与え、中国を封じ込める』という彼らのメッセージとどう合致するのだろうか」と投稿(タス通信6月23日)。欧米からの自動車の供給が止まることでかえってロシア国内の自動車産業の競争力が向上し、ロシアと中国の連携を強化させることにつながるという持論を展開し、牽制した。

(後藤大輝)

(ロシア)

ビジネス短信 8c5092b1dbf5d269