「県域商業3年行動計画」を発表、農民消費拡大を図る
(中国)
北京発
2023年08月29日
中国商務部など9部門は8月14日、「県域商業3年行動計画(2023~2025年)」を発表した。サプライチェーン、物流・配送、商品とサービスの地方進出、農産物の都市部進出を主軸とし、デジタル化、チェーン化、標準化の方向性で、資源要素の農村市場への傾斜をさらに促進する方針が示されている。
同通知では、「県域(注1)で統一計画し、県城を中心とし、郷・鎮を重点とし、村を基礎とする農村商業体制」を構築し、2025年までに全国で500の県域商業「リード県」をつくり、90%の県が「基本型」(注2)以上の商業機能を持ち、条件を備える地域において村の宅配サービス普及を実現する目標が明記されたほか、目標達成までのプロセスが3段階に分けて示された(注3)。
また、主要項目として、県の商業ネットワーク施設と業態の整備、農村物流の共同配達の推進、県域物流企業の転換とアップグレード、農村の消費市場の拡大、農村部における電子商取引(EC)の質の高い発展の促進、高品質な農産物の供給力の向上、農産物の流通システム建設の強化、の7項目が挙げられている。
中国人民大学公共管理学院の馬良教授は、県域商業の発展は農村部・都市部双方の消費者に寄与すべきであり、農村住民の消費のアップグレードを促進すると同時に、都市住民の農村観光のため農家民宿のみならず、関連する商業施設の整備も促進すべきだとの見方を示した(「新京報」8月14日)。
同通知において、高品質な製品とサービスの供給を増やすことに関する取り組みは次のとおり。
- 農村での新エネルギー車、スマート家電、グリーン建材の販売促進を引き続き支援する。充電・電池交換施設の建設を加速し、アフターサービスなどを改善、農村部の大口商品消費のアップグレードを促進する。
- 農村における商業施設の改良に合わせ、レストラン・アミューズメント・家族向けサービスなどの業態の導入を推進する。農村観光、レジャー農業、「農家楽」(注4)、自家用車でのドライブツアーなどで都市住民の農村での消費を誘致する。
(注1)中国の行政区分は、省級、地級、県級、郷級の4つの階層で構成される。県域は、行政単位である県の管轄区域内の総称。県城は県政府の所在地。県には郷、鎮が置かれており、郷は各村で構成される。
(注2)「県域商業建設指南」(商弁流通函[2021]322号)では、各商業施設の機能、面積、設備などについて、「基本型」「増強型」「アップグレード型」の3つの標準が定められており、そのうち「基本型」は最も基本的な機能を備えているもの。
(注3)第1段階(2023年7~12月)は行動開始と第1陣の「リード県」の推薦・発表を実施する段階。第2段階(2024年1~12月)は行動の全面推進と第2陣の「リード県」の推薦・発表を行う段階。第3段階(2025年1~10月)は全面評価と第3陣の「リード県」の推薦・発表を実施する段階。
(注4)「農家楽」は農家を単位とし、農家民宿、農家料理、農産物などを中心とした農家生活体験サービスを提供する事業形態。
(趙薇)
(中国)
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