TICADの30周年行事開催、アフリカとの戦略的外交を目指す

(アフリカ、日本)

調査部中東アフリカ課

2023年08月30日

日本の外務省は8月26日、アフリカ開発会議(TICAD、注)の30周年行事「TICAD30年の歩みと展望」を東京で開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。森喜朗元首相や林芳正外相のほか、国会議員、在日アフリカ大使館、民間企業、学術界、地方公共団体などから約400人が参加した。3つのパネルディスカッションに官民のパネリストが登壇し、TICADのこれまでの歩みと今後の展望について意見交換が行われた。

岸田文雄首相はビデオメッセージで開会の辞を寄せ、「国際社会でのアフリカの発言力は高まっており、日本はG7広島サミット直前にアフリカ諸国を訪問し、サミットでの議論に生かした」と語った。林外相は「開発と経済面での協力に加え、外交面でもアフリカを戦略的に位置づける。アフリカの平和と安定はアフリカの持続的な開発だけでなく、日本企業の進出のためにも最優先課題だ」とし、戦略的パートナーシップ構築を訴えた。

パネル1「TICAD30年の歩み」では、TICADが提唱してきたアフリカ開発におけるアフリカ諸国の「オーナーシップ」の重要性が確認された。パネル2「TICADの変化、援助から民間投資へ」では、インパクト投資や、アフリカ企業と日本企業のマッチング、ハードとソフト面でのインフラ整備の支援、アフリカでのグリーン成長の促進、日本企業のアフリカ進出のリスク軽減のための外国企業との連携などが議論された。パネル3「TICADの将来」では、国際的なプラットフォームとしての役割として、気候変動や食料安全保障などの課題に取り組むことや、開発資金の確保、人材育成・技術移転、スタートアップとイノベーションの促進が指摘された。

直近の第8回(TICAD8)は2022年にチュニジアの首都チュニスで開催された(2022年8月29日記事2022年9月6日記事参照)。次回の第9回(TICAD9)は2025年に横浜で開催予定だ。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(注)アフリカ開発をテーマとする国際会議。日本政府、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合委員会の共催で3年に1度開催される。1993年の第1回会議以降、2013年の第5回会議までは5年に1回開催され、2016年に初めてアフリカ(ケニア・ナイロビ)で行われた第6回会議からは3年に1度の開催となった。

(吉川菜穂)

(アフリカ、日本)

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