南部メコンデルタ地域、外資誘致に向けてセミナー開催

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年08月02日

ベトナム南部カントー市(注1)で721日、ベトナム国際仲裁センター(VIAC)とベトナム商工会議所(VCCI)カントー支局がメコンデルタ地域の投資促進に関するセミナーを開催した。VIACのブー・ティエン・ロック会長や、VCCIカントー支局のグエン・フォン・ラム支局長、メコンデルタ地域13省・市(注2)の人民委員会幹部らが出席したほか、ジェトロ・ホーチミン事務所の松本暢之所長や在ベトナムシンガポール商工会議所の代表者、メコンデルタ地域に進出する企業関係者ら200人以上が参加した。

セミナー冒頭でラム支局長は、メコンデルタ地域の202316月(上半期)の地域総生産(GRDP)の成長率(推計値)が前年同期比5.47%で、同時期における全国の実質GDP成長率3.72%を上回ったことに触れ、「メコンデルタ地域は、主要産業の農林水産業に加え、再生可能エネルギー分野でさらなる発展の可能性がある」と述べた。さらに、同地域の同時期における対内直接投資の認可額は55,100万ドルで、前年同期の32.5%増となり、国・地域別では日本がシンガポールに次いで2位であることを紹介した。

日系企業の投資動向およびメコンデルタ地域への投資誘致をテーマとしたセッションでは、松本所長が、大都市から地方へと対象がシフトしている対ベトナム投資の状況などを解説。日系企業による投資への関心が高まっている(注3)ことに触れた上で、「外資企業を呼び込むためには、各種行政・許認可手続きの簡素化や交通インフラ整備、企業が求める人材の供給に注力するとともに、駐在員の住環境を整えることが重要だ」と述べた。

また、ロック会長は、メコンデルタ地域への投資誘致におけるボトルネックは、複雑な法制度、交通インフラ、労働力の3つと指摘した。VIACによると、外資企業が関与する法的な紛争の割合は3割近くを占め、近年、増加傾向にあると紹介した。

さらに、ベトナム物流研究開発院のホー・ティ・トゥ・ホア院長は、同地域はホーチミン市近隣の港に依存しており、カントー市、ロンアン省、ハウザン省の3省・市にしか冷蔵倉庫がなく、高すぎる物流コストが負担になっていると指摘した。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(注1)カントー市は、南部メコンデルタ地域の中心都市で、ベトナム国内に5つある中央直轄市の1つ。カントー国際空港、カイクイ港などを有する。

(注2)メコンデルタ地域13省・市は、ロンアン省、ティエンザン省、ベンチェ省、チャビン省、ビンロン省、ドンタップ省、アンザン省、キエンザン省、カントー市、ハウザン省、ソクチャン省、バクリュウ省、カマウ省となる。

(注32022年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)によると、今後12年の事業展開の方向性について、ベトナムは「拡大」と回答した企業がインド、バングラデシュに次いで高く、ASEANでは1位。

(児玉良平)

(ベトナム)

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