上半期の輸出は前年同期比5.4%減も、輸送機器、果物はプラス成長
(タイ)
バンコク発
2023年08月08日
タイ商務省が7月26日に公表した貿易統計によると、2023年上半期(1~6月)の貿易総額は前年同期比4.4%減の2,886億4,820万ドルだった。輸出総額は5.4%減の1,411億7,030万ドル、輸入総額は3.5%減の1,474億7,790万ドルで、貿易収支は63億760万ドルの赤字だった。
農産物・同加工品の輸出は前年同期比2.8%減の256億3,420万ドルだった。ゴム(17億4,636万ドル、38.9%減)、キャッサバ製品(20億3,322万ドル、18.8%減)など多くの品目で減少が見られた。他方で、農産物・同加工品のうち最も輸出額が大きい果物(生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥)については、18.9%増の42億357万ドルに伸びた。中国向けドリアン(生鮮)輸出は32.1%増の29億3,370万ドルと大きく拡大した。
ドリアンなどの生鮮品の中国向け輸出には、ラオスのビエンチャンと中国雲南省昆明を結ぶ中国ラオス鉄道が貢献している。タイ商務省貿易交渉局(DTN)のオラモン・サッタウィータム局長によると、同鉄道を利用することで、タイ東北部ノンカイ県から昆明までの陸上輸送の所要時間が2日間から15時間に短縮されたという。2023年1~5月の同鉄道を使用した中国向け輸出額は前年同期比3.6倍の28億4,000万バーツ(約113億6,000万円、1バーツ=約4円)、このうちドリアン(生鮮)は4.7倍の20億7,000万バーツで、全体の72%を占めた。また、中国でのタイ産果物の人気上昇や、自由貿易協定(FTA)による関税削減効果により、ドリアン以外の果物の輸出も拡大しているという(8月2日「バンコク・ポスト」紙)。
工業製品の輸出についても、前年同期比5.3%減の1,101億8,950万ドル。主要品目の中では、輸送機器・同部品(142億8,307万ドル、5.4%増)、集積回路(47億1,106万ドル、1.3%増)が拡大した一方で、コンピュータ・同部品(89億4,110万ドル、15.2%減)、化学製品(42億2,360万ドル、18.0%減)、ゴム製品(67億8,257万ドル、6.5%減)など多くの品目で、貿易相手国の需要の低下などを背景に縮小した。
主要仕向地別では、ASEAN9カ国が前年同期比10.0%減の336億110万ドル(構成割合23.8%)、米国が3.6%減231億2,830万ドル(同16.4%)、中国が3.7%減の177億6,551万ドル(同12.6%)、EU(27カ国)が0.4%減の133億7,360万ドル(同9.5%)、日本が1.3%減の125億1,570万ドル(同8.9%)と軒並み減少し、特に輸出先市場の4分の1程度を占めるASEANでの減少が目立った。
(注)インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム
(藤田豊)
(タイ)
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