世界の富、2022年に減少も今後5年間で38%増加の見通し
(スイス、世界)
ジュネーブ発
2023年08月21日
スイス最大の銀行UBSは8月15日、クレディ・スイス(CS)と共同で、世界の家計の富に関する年次報告書「グローバル・ウェルス・レポート」2023年版を発表した(プレスリリース
)。同レポートによると、2022年は、2008年以来初めて世界の富が減少した年となったが、今後5年間で世界の富は38%増加すると予測した。
個人の保有資産(不動産や株式など)に基づく世界の富は、2022年に名目ベースで総額454兆4,000億ドルとなり、前年から11兆3,000億ドル減少した(前年比2.4%減)。減少の主な要因はドル高の影響で、金融資産の減少が最も大きく、不動産などの非金融資産は底堅さを保った。
富の減少を地域別にみると、北米や欧州に大きく集中し、合計で10兆9,000億ドルの縮小となり、アジア太平洋では2兆1,000億ドル減少した。国別の縮小額のトップは米国で、日本、中国、カナダ、オーストラリアがこれに続いた。一方、最大の富の増加を記録したのはロシアで、メキシコ、インド、ブラジルが続いた。
また、世界の成人1人当たりの保有資産は3,198ドル減少した(前年比3.6%減)。国別の成人1人当たりの平均保有資産額は、スイス(68万5,230ドル)が前年に続きトップで、次いで米国(55万1,350ドル)、香港(55万1,190ドル)、オーストラリア(49万6,820ドル)、デンマーク(40万9,950ドル)の順だった。日本については、平均保有資産額(21万6,078ドル)は上位20位から外れたが、成人1人当たりの富の中央値(10万3,680ドル)では16位となった。
なお、同レポートは将来への明るい見通しを示しており、中所得国の成長が主な推進力となり、世界の富は今後5年間で38%増加し、2027年までに総額629兆ドルに達するとした。また、成人1人当たりの保有資産は、2027年には11万270ドルに達し、「億万長者」の数は8,600万人、超富裕層(保有資産5,000万ドル以上、UHNWI)の数は37万2,000人となると予測している。
(遠藤智之)
(スイス、世界)
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