CHIPSプラス法発効1周年で米大統領が声明、1,660億ドルの半導体投資が発表と強調

(米国)

ニューヨーク発

2023年08月10日

米国のジョー・バイデン大統領は8月9日、国内半導体産業を振興するための約527億ドルの予算を含んだ「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」の発効1周年を記念し声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。声明では、この1年間で合計1,660億ドルを超える半導体関連の投資案件が発表されたと強調している。

CHIPSプラス法の中核にあるのは、米国で半導体関連の投資を行う企業への資金援助プログラムだ。同プログラム向けに、5年間で合計390億ドルの予算が確保されており、プログラム申請者はさらに投資額の25%に相当する税額控除が認められる可能性もある。資金援助の所管省庁の商務省は、資金援助の申請を(1)半導体製造施設の建設、拡張、現代化、(2)半導体製造装置や素材関連施設の建設、拡張、現代化(3億ドル以上の案件)、(3)研究開発施設関連の投資および上記(2)で3億ドル未満の案件、の3段階に分けて募集しており、現時点で(2)の募集まで発表されている(2023年6月26日記事参照)。(3)に関しては、今秋に募集要項が公示される予定だ。資金援助を希望する企業は予備申請(注)および本申請の前段階として、投資計画の概要を示した関心申告書(Statement of Interest:SOI)を提出する必要がある。ホワイトハウスが声明と同じ日に公表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、商務省はこれまでに460件以上のSOIを受領しており、投資先候補は42州にまたがっている。

米国の半導体業界を代表する半導体産業協会(SIA)は同日、CHIPSプラス法を成立させた政権と議会を評価する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。SIAは同法成立の可能性が浮上し始めた2020年5月以降、米国内で発表された半導体関連の投資案件をリスト化し、公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。それによると、これまでに20州で合計50件以上、金額にして2,100億ドル以上の民間投資が発表されており、それらは4万4,000人の新規雇用を創出するとされている。一方、SIAは声明で、政権と議会に対し業界と連携して法律を円滑に実施していく重要性を訴えた。特に、半導体業界を支える理系人材の供給不足が喫緊の課題との認識を示している。SIAが2023年7月に英国調査会社のオックスフォード・エコノミクスと発表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、現状のトレンドのまま進めば、2030年には米国の半導体業界で技術者、コンピュータ科学者、エンジニアが約6万7,000人不足すると予測されている。

(注)予備申請は任意のプロセスで、本申請を検討する潜在的な申請者は、計画に関する詳細な情報を提出し、CHIPSプログラム室から次のステップ(予備申請書を修正すべきか、本申請にそのまま提出すべきかなど)に関する提言を含んだ回答を得られるとしている。

(磯部真一)

(米国)

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