大連で水素エネルギー測定センターが設立

(中国)

大連発

2023年08月25日

中国の大連市政府は8月17日、大連ボイラー圧力容器検験検測研究院(注1)が出資する大連水素エネルギー測定センター(以下、測定センター)の第1期工事が完成したと発表した。総投資額は1億7,000万元(約34億円、1元=約20円)で、ガスシリンダーとその付属品分野で中国最高レベルの試験場となる。また、水素燃料電池車向けの水素貯蔵・供給システム分野において、中国初の専門の実験室も完備している。

測定センターは大連自由貿易試験区の水素エネルギー産業パーク内にあり、敷地面積は2万9,000平方メートルに及び、建築面積は1万1,500平方メートルに上る。同センターには、水素環境実験室、多機能実験室、特殊環境実験室、材料腐食性能実験室などがあり、中国では最高レベルの安全・防爆(注2)仕様の水素実験室となる。また、世界最大のフルサイズのシリンダー爆破試験場と、中国唯一の屋内火災を再現できる専門防爆実験室を備え、高パラメータの車載水素貯蔵システムや車両全体の火災試験を実施できるほか、機関車、船舶、航空機用水素貯蔵システムの関連試験もできる。

今回、測定センターが完成した大連水素エネルギー産業パークでは、水素エネルギー企業を積極的に誘致している。同産業パークの第1期プロジェクトは2020年に建設が開始され、中国石油化工海明路総合エネルギーステーション(注3)がすでに完成し稼働している。第2期プロジェクトは2022年に建設が開始され、燃料電池の部品開発などを手掛ける「国創水素エネルギー燃料電池プロジェクト」や、燃料電池エンジンの組み立てなどを手掛ける「洺源科技水素燃料電池動力組立プロジェクト」の建設が行われている。

大連市発展改革委員会工業処処長の万久文氏は、大連市の水素エネルギー産業の発展動向について、「水素燃料電池車をはじめとし、今後は水素エネルギー船、機関車、航空機、分散型発電所、熱電併給、エネルギー貯蔵などの分野にも拡大する」との見通しを示した(「広州市広播電視台」2023年8月14日)。

(注1)大連ボイラー圧力容器検験検測研究院(DBPVI)は、検査や認証を手掛ける大連検験検測認証集団に所属し、主にボイラー、圧力容器、圧力管、エレベーター、巻上機、遊具施設、建機などの安全品質や安全性能の検査などを行っている。

(注2)可燃性ガスや粉じんによっておこる火災や爆発を防止すること。

(注3)中国石油化工海明総合エネルギーステーションは、2021年7月から運営が開始され、給油、水素の充填(じゅうてん)、液化天然ガス(LNG)ガスの充填、給電などの機能を持ち、中国石油化工(シノペック)が中国で建設した2カ所目の総合エネルギーサービスステーションだ(「人民科技」2021年7月23日)。

(呉暁東)

(中国)

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