消費者向けアプリスタートアップ、グローバル展開のポイントを解説

(日本)

イノベーション部スタートアップ課

2023年08月28日

日本発の消費者向けアプリをグローバル展開し、海外でもユーザー獲得に成功する日系スタートアップがその成功要因を語った。ジェトロは7月27日、そのような成功体験談の共有を目的としたトークイベントを開催した(ジェトロ東京本部7階Innovation Gardenで)。イベントにはJ-StarXプログラム(注)の修了生(アルムナイ)を中心とした消費者向けサービスを手掛ける約30人の起業家、ベンチャーキャピタル(VC)が集まった。

イベントでは、日本国内外累計4,800万回のダウンロードを誇るカレンダー共有アプリを手掛けるタイムツリーの最高経営責任者(CEO)深川泰斗氏が講演した。同氏は、海外での事業では「人が人を呼ぶ仕組み」を構築できたことが事業成長に貢献した要素の1つだと強調した。特にSNSでこの仕組みが機能したことが成功の要因になったという。一例として、SNS上でインフルエンサーが同社アプリを取り上げたことが海外での事業展開で重要な役割を担った。また、日本国内での利用者はもともとファミリー層が多かったが、海外では若年層の友人間の使用が傾向として多くみられるなど、異なる層が利用者のボリューム層になったことをポイントに挙げた。

続いて、香港の投資ファンドKeyrock Capital Managementのシニアアドバイザー、内河俊輔氏が投資家の目線について講演した。投資家は、スタートアップがグローバル展開を目指す際に必要不可欠な存在だ。だからこそ、投資家としては、自ら共有することをためらいそうな事業の弱みを包み隠さず話してもらえる起業家こそ、信頼のおけるパートナーと考えていることなどを明らかにした。また、参加者から投資家としての価値観を問われた内河氏は、投資先となる事業の見通しなどを考慮しつつも、個人的に応援したくなる企業(熱意が伝わる行動をとっているなど)を支援することがあると語った。

(注)海外展開を目指す起業家の育成を目的とした経済産業省が主催するプログラム。起業後のスタートアップ企業をはじめ、起業前の学生などもプログラムの対象。

(迫田貴瑞)

(日本)

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