メキシコの原子力専門家はALPS処理水の安全性を肯定

(メキシコ、日本)

メキシコ発

2023年08月28日

メキシコ国立自治大学(UNAM)原子力科学研究所のフリオ・エレラ・ベラスケス研究員は8月23日、CNNの番組インタビューに応じ、「現実的にALPS処理水をためるタンクが残りわずかであるため、日本は処理水を少量ずつ放出するしか術がなくなっている。除去できない物質であるトリチウム以外の放射性物質は基準値未満に処理されるため、人体への影響はない。世界原子力機関(IAEA)の発表報告書や世界的な研究所は、科学的な調査に基づく安全性を証明している。もちろん、処理水の放出場所周辺の魚などへのトリチウムの蓄積は考えられるが、放出量が非常に微量であるため、生態系に性急な影響を及ぼすことはない」と専門家の見地からコメントを残した。

8月23日時点でのメキシコ大手各紙は、「日本がALPS処理水の放出を決定した。周辺国政府の非難が増大し、東北地方の地元漁業関係者の不安も拡大している」と報道し、メキシコ国内におけるALPS処理水放出への反応は報じていない。また25日時点で、メキシコ政府およびビジネス界から処理水放出についての発表は見られない。ジェトロが日本産食材を輸入する複数の現地企業へヒアリングを行ったところ、水産品の納品先であるレストランなどから、処理水について特段コメントなどは受けていないとのことだ。

(志賀大祐)

(メキシコ、日本)

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