7月の新築住宅価格、上昇は6月より11都市減
(中国)
北京発
2023年08月29日
中国国家統計局は8月16日、7月の主要70都市の住宅販売価格指数を発表した。同月の新築住宅販売価格指数は、前月と比べ70都市のうち20都市が上昇したものの、前月比で上昇した都市数は6月より11都市減少した。中古住宅で価格が上昇したのは6都市のみだった。
都市の規模別でみると、「1線都市」(注)は新築住宅が前月比で2カ月連続の横ばいとなった。うち、北京市と上海市はそれぞれ0.4%、0.2%上昇した一方、広東省広州市と深セン市はそれぞれ0.2%、0.6%下落した。「2線都市」は6月の横ばいから0.2%下落に転じた。「3線都市」は0.3%下がって、下げ幅は前月より0.2ポイント拡大した。
国家統計局の報道官は8月15日の7月の経済情勢に関する記者会見での質問に対して、不動産市場は現在調整局面にあり、一部の不動産企業が経営困難に直面しており、特に一部の大手不動産企業の債務リスクが露呈し、市場の先行きに対する期待に影響を与えているとした。そのうえで、これらの問題は調整局面に出てきた問題で、市場調整メカニズムが徐々に機能することや不動産政策の調整・最適化により解決されると指摘した。
7月24日に開催された中央政治局会議(2023年7月28日記事参照)では、不動産市場は需要と供給に重大な変化が生じたとの認識を示し、不動産政策を適時調整・最適化すると言及した。これを受け、住宅都市農村建設部は、住宅購入の頭金比率やローン金利の引き下げなど不動産市場安定に向けた対策が確実に実施されることを表明している(2023年7月31日記事参照)。
広東省規画院住宅政策研究中心の李宇嘉首席エコノミストは、最近の不動産価格の下落は予想以上だと指摘した。一方で、2線都市において2軒目の住宅購入に当たって頭金比率を引き下げることや住宅積立金ローン貸与枠を引き上げることを含めた各地方の不動産政策の調整・最適化、策定中の1線都市の規制緩和策の展開、住宅ローン金利の引き下げなどの取り組みは不動産市場の底上げにつながるとの期待を示した(「証券時報」8月16日)。
(注)70都市の住宅価格統計における「1線都市」は北京市、上海市、広州市、深セン市、「2線都市」は天津市、重慶市、大連市、青島市および瀋陽市、フフホト市、石家庄市、成都市などの31都市、「3線都市」は唐山市、温州市、桂林市、三亜市などの35都市を指す。
(張敏)
(中国)
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