ADB予測、南アジア地域の2023年と2024年の経済成長率は5.5%、6.1%で据え置き
(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ)
調査部アジア大洋州課
2023年08月15日
アジア開発銀行(ADB)は7月19日、「2023年版アジア経済見通し」を発表した。南アジア地域(注)の2023年および2024年の経済成長率は、前回2023年4月発表時の成長率予測を達成する見込みだとし、5.5%、6.1%を据え置いた(2023年4月20日記事参照)。
ADBによると、インドの2023年および2024年の経済成長率見通しは、それぞれ前回予測の6.4%、6.7%から変更はなかった。
今般のインドの成長率予測は、降雨量やその他の気候条件が正常かつ、地政学的ショックがないことを前提としており、消費者信頼感、都市部の失業率、オートバイ販売台数などの指標を反映し、農村部および都市部での消費需要が堅調とした。また、世界的な景気減速による輸出抑制が成長の妨げとなる一方で、銀行融資の伸びと住宅需要は活況を呈しており、投資も安定的な伸びを維持するとの見解を示した。
バングラデシュについては、輸入が予想より大幅に減少し、堅調な純輸出を反映して、2022/2023会計年度(2022年7月~2023年6月)の同国の成長率予測を5.3%から6.0%に引き上げた。同行によると、供給面ではあらゆる規模の製造企業が政府の支援政策を活用し、成長に貢献した。そして、洪水、サイクロン、干ばつによる作物の損失は、政府の補助金や奨励金、その他の措置によって部分的に相殺されたとした。サービス部門は、倉庫業や支援活動、医療・社会サービスが成長を下支えした。また需要面では、公共投資および公共消費の伸びが予想を上回ったとした。ADBは他方で、同国の2023/2024年度の成長率見通しは前回予測の6.5%に据え置いた。
(注)南アジア地域:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ。
(寺島かほる)
(インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ)
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