世界2位の衣料品輸出国バングラデシュ、日本市場への高い期待

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年08月04日

WTOは7月31日、「世界貿易統計レビュー2023」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は2022年の世界貿易の動向について分析し、物品とサービスの貿易について解説している。

報告書によると、衣料品の輸出世界1位は中国で、輸出額1,820億ドル(前年比4%増)、31.7%のシェアを占めている。次いでEUが1,560億ドル(前年比4%増)で27.1%のシェアだが、国単体では2位がバングラデシュで、輸出額450億ドル、シェアは7.9%となり、前年比27%増と主要輸出国の中でも際立った成長を見せている。この結果は、バングラデシュが衣料品の輸出国として既に一定の地位を築いていることに加え、サプライチェーンの多角化として、各国がバングラデシュで生産調達を増やしている動きが背景にあると思われる。3位以下はベトナム(350億ドル、6.1%)、トルコ(200億ドル、3.5%)、インド(180億ドル、3.1%)が続いた。一方、バングラデシュはテキスタイルの輸入国としても国単体では世界4位(150億ドル、3.9%)となり、原材料については輸入に依存している状況が示されている。

また、バングラデシュの衣料品の輸出先として日本が注目されている。現在は主要輸出先は欧米に集中し、輸出先の多角化が課題となっている。2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)の輸出額について、バングラデシュ輸出振興庁によると(添付資料表1参照)、ニット製品(HSコード第61類)が上位5カ国(ドイツ、英国、米国、スペイン、フランス)で53.6%を占める。布帛(ふはく)製品(62類)は、上位5カ国(米国、ドイツ、英国、スペイン、フランス)で60.9%と割合が増える(添付資料表2参照)。そのような状況下で、日本のシェアは、ニット製品・布帛製品ともに3.4%と上位10位内に位置する。同報告書レポートによると、日本は衣料品の輸入額270億ドルで世界シェア4.5%を占め、国単体として米国に次ぐ世界第2位となっている。バングラデシュから日本向け輸出を拡大する期待は大きく、実際に2022/2023年度の日本向け輸出は全体で40.5%増と急増をしている。特にニット製品は48%増、布帛製品は42.8%増と大幅な増加が見られる。

他方、日本企業も、豊富で低廉な労働者の活用に加え、サプライチェーンの多角化という文脈からも、バングラデシュへの注目が高まっている。バングラデシュに進出済みの日系企業では、2国間経済連携協定(EPA)が両国の貿易を押し上げる要因になると期待が高く、今後の議論に注目が集まる(2023年7月31日記事参照)。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

ビジネス短信 27743a822ce9d3f0