日本の格付投資情報センター、ギリシャの発行体格付けを引き上げ

(ギリシャ、日本)

ミラノ発

2023年08月10日

日本の格付投資情報センター(R&I)は7月31日、ギリシャの外貨建ておよび自国通貨建ての発行体格付けをそれぞれBB+(安定的)からBBB-(安定的)に引き上げたことを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

欧州の不安定な経済環境にもかかわらず、ギリシャ経済が堅調に推移していることや、基礎的財政収支が黒字化し、政府債務比率は新型コロナウイルス感染拡大前を下回る水準まで低下したことなどを、今回の格付け引き上げの理由とした。具体的には、観光セクターにおける需要の回復、堅調な個人消費と投資の増加により、2022年の実質GDP成長率がユーロ圏の平均を上回る5.9%を記録したことなどが挙げられている。

また、R&Iは、2023年6月に実施されたギリシャ議会選挙で与党の新民主主義党(ND)が再度、単独政権樹立を果たし(2023年7月5日記事参照)、同政権下で進められてきた経済の活性化や財政健全化に向けた取り組みの継続が確実となり、投資と改革を通じた成長力の底上げと、政府債務比率の継続的な低下、金融セクターの安定性が一段と高まったと指摘。強固な政権基盤を確保したキリアコス・ミツォタキス政権の政策運営を見守るとの方針を示した。

ギリシャ政府が同日に開催した記者会見では、パブロス・マリナキス政府報道官がR&Iの発表について言及し、ギリシャにとって重要なことだと述べた。

また、ギリシャ財務省は同日付のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「R&Iがギリシャを投資適格のBBB-に格上げしたのは、過去4年間の同国経済の改善傾向、政治的安定、そして6月の総選挙後のギリシャの前向きな見通しの結果だ」とし、この進展は日本およびアジア市場全体からの投資の道を開くものとしている。さらに、「R&Iは欧州中央銀行(ECB)が認める格付け機関には含まれないが、今回の格上げは、ECBが認める他の格付け機関から将来的に予想される格上げの先駆けとなるものだ。これは、資金調達コストの削減ならびに国内投資の拡大、成長や雇用を意味する」と評した。

(井上友里)

(ギリシャ、日本)

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