商務部、一部ドローンの輸出管理を強化
(中国)
北京発
2023年08月07日
中国商務部は7月31日、「一部のドローンに対する臨時輸出管理実施の公告」を発表した。この公告により、一部のドローン(無人航空機)は輸出に際して許可が必要となった。同臨時輸出管理は9月1日から最長で2年間適用される。具体的条件は次のとおり。
性能が現行の管理指標(注1)で定める水準には達しないが、操縦者の目視の範囲外まで制御飛行が可能で、最大航続時間が30分以上、かつ離陸後重量が7キログラム以上、または機体重量が4キログラム以上、さらに次の項目に1つでも当てはまる場合、許可なく輸出を行ってはならない。
- 搭載する無線設備が国際民用無線製品認証の出力制限を超える場合。
- 荷下ろし機能や荷下ろし機を搭載している場合。
- 光学カメラ、または560ナノメートル(nm)、650nm、730nm、860nm以外の波長範囲に対応するマルチスペクトルカメラを搭載している場合。
- 雑音等価温度差(NETD、注2)が40ミリケルビン(mK)未満の赤外線カメラを搭載している場合。
- 一定の要件を満たすレーザー測距・測位機能を搭載している場合。
- 非認証積載物を搭載している場合。
また、ドローンが大量破壊兵器の拡散やテロ活動、軍事目的に使用されることを輸出企業が知っている、または知るべき場合は輸出してはならないとしている。
輸出企業は関連規定に基づき、省レベルの商務主管部門を通じ、契約書や技術説明書、検査報告書などを商務部へ提出し、申請を行うとされている。
商務部は7月31日の記者会見で、高性能ドローンは一定の軍事的属性を有しており、これに対して輸出管理を行うのは国際的な慣行とした上で、中国は2002年以降、ドローンについて徐々に輸出管理を行い、管理範囲と技術標準は国際社会と一致していると説明した。また、近年のドローン技術の急速な発展と応用範囲の拡大で、一部の高性能な民生用ドローンが軍事転用されるリスクが高まっているとも指摘。ドローンの主要生産国で輸出国でもある中国は十分な評価と論証に基づき、ドローンの輸出管理を適度に強化するもので、特定の国や地域を対象としたものではないと説明した。
(注1)商務部、海関総署などが公表した「軍民両用ドローンに対する臨時輸出管理公告」(2015年第20号)、「一部の両用品目の輸出管理強化に関する公告」(2015年31号)で規定の技術指標を指す。これらの水準に達する場合は従来、輸出に際して許可が必要となっていた。
(注2)NETDはNoise Equivalent Temperature Differenceの略で、被写体温度を測る性能を示す。NETDの値が小さいほど赤外線システムの温度分解能が高い。
(亀山達也)
(中国)
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