米自動車ローン申請の却下率が過去最高水準、ニューヨーク連銀調べ

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月26日

米国のニューヨーク連邦準備銀行が7月17日に発表した調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年7月から2023年6月までで、金融機関が自動車ローン貸し付けを却下した割合は、同連銀が調査を始めた2013年10月以降で最も高い14.2%となった。前回発表の2022年3月から2023年2月までの却下率9.1%から大きく上昇した。また、2023年7月から2024年6月の却下率は30.7%に上昇すると予測しており、下半期の自動車販売への影響が懸念される。

専門家は、金利上昇と返済の延滞を懸念する貸し手の慎重な態度が却下率の上昇につながった可能性を指摘している(「オートモーティブ・ニュース」電子版7月20日)。セントルイス連邦準備銀行によると、5月の市中銀行が提供する貸付期間48カ月の新車の自動車ローン平均金利は7.59%と、2008年2月以降で最も高い水準となった。また、2023年第2四半期(4~6月)の自動車ローンに関し、連邦準備制度理事会(FRB)が公表する銀行の融資審査基準が厳格化した割合を表す貸し出し態度指数をみると、新型コロナ禍で急激に厳格化が進んだ2020年第3四半期(7~9月)を除けば、データが確認できる2011年第2四半期以降で最も高い水準だった。

一方で、2023年第1四半期(1~3月)の自動車ローン返済の「重大な延滞」とされる90日以上の延滞率は平均2.33%と、新型コロナ禍前の水準(2020年第1四半期:2.37%)にとどまった。ただ、債務者を年代別にみると、若い世代での延滞率が高く、18歳から29歳が4.55%、30歳から39歳が3.06%で、それぞれ2010年第1四半期、同年第4四半期(10~12月)以降で最も高い水準となった。関係者からは、2023年秋以降、バイデン政権による学生ローン債務の支払い一時停止措置が終了し(2022年11月24日記事参照)、これらの世代の延滞率がさらに高まることを危惧する声も聞かれる(「オートモーティブ・ニュース」電子版7月23日)。

(大原典子)

(米国)

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