山東省、RCEP協定経済貿易協力ハイレベルフォーラムを開催

(中国)

青島発

2023年07月13日

中国国際貿易促進委員会(以下、CCPIT)と山東省政府は6月29日、「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定経済貿易協力ハイレベルフォーラム」(以下、フォーラム)を山東省青島市で開催した。現地メディアによると、フォーラムにはRCEP協定加盟国の政府関係者や在中外国使節をはじめ、貿易促進機関や商工会、企業の代表者、専門家など400人以上が出席した(「経済日報」7月3日)。

開幕式では、CCPITの任鴻斌会長が中国RCEP協定加盟国との経済貿易関係が緊密化(2023年2月7日記事参照)している点を踏まえ、「RCEP協定は、中国が世界に向けてハイレベルな自由貿易ネットワークを拡大する上で意義があり、またハイレベルな開放を推進する上でも重要な取り組み。各国経済界がRCEP協定を有効活用し、域内でさらなるハイエンド産業チェーンの優位性補完が進展し、融合が深化することが望まれる」と祝辞を述べた。

また、日中韓三国協力事務局(Trilateral Cooperation Secretariat、TCS)の欧渤芊事務局長は「RCEP協定は中国、日本、韓国の間で結ばれた初めての自由貿易協定。域内のサプライチェーンおよび産業チェーンの安定性と強靭(きょうじん)性を高め、域内投資の最適化と改善を促した」と述べた(同上)。

域内での協力強化に向けたイニシアチブを発表

フォーラムでは、「中国経済界による、RCEP協定メカニズムの構築を促進し、域内協力の成果を共有することに関する青島イニシアチブ」(以下、イニシアチブ)が発表された。イニシアチブでは、域内のサプライチェーンと産業チェーンの共同構築、ネット金融などの分野でのさらなる開放の模索、国家安全保障を厳守する前提での域内金融インフラの相互連携、グリーン技術の研究開発と応用、石油化学や設備製造などのエネルギー多消費型産業における環境面での協力、域内産業チェーンの脱炭素化などを推進していくことが掲げられた(「経済日報」7月3日)。

そのほか、開幕式では「RCEP魯貿通」(注)の人工知能(AI)版のリリースが発表された。AI版は利用者の曖昧な表現にも対応し、15カ国30万品目以上のRCEP協定に係る税率データベースを利用できる。また、翻訳機能や契約書のテンプレート、法律Q&Aといったツールも搭載されている(「観海新聞」6月30日)。

(注)山東省が2020年に立ち上げた、国​​内初のRCEP協定に係るオンラインサービスプラットフォーム。RCEP協定に係る税率の照会や比較、原産地規則の照会、原産国判定といった3種類の機能がある。

(董玥涵)

(中国)

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