JCCが2023年上期の景気動向調査を公表、輸出需要が減少、業況感DIマイナスに転じる
(タイ)
バンコク発
2023年07月05日
バンコク日本人商工会議所(JCC)は6月27日、「2023年上期タイ国日系企業景気動向調査」の結果を公表した。それによると、在タイ日系企業の業況感DI(注)は、2022年下期に24と同年上期(27)からプラス幅が縮小し、さらに2023年上期はマイナス3と大きく悪化する見込みとなった。他方、同年下期は26とプラスに転じて伸長する見通しだ。
先述のとおり、2022年下期の業況感(実績値)は24となったのは、繊維(マイナス8)、鉄鋼・非鉄(マイナス3)がマイナスに転じたことなどが要因で、同年上期(27)から微減した。
2023年上期の業況感(見込み)はマイナス3で、2022年下期(24)から悪化する見通し。インバウンド旅行客の回復による経済への好影響がみられたものの、世界的なインフレ、金融政策の引き締めによる輸出需要の減少などが下押し要因だ。製造業全体の業況感はマイナス18と、2022年下期(16)から顕著に悪化した。全ての製造業種で業況が悪化し、輸出需要の減少を悪化要因として挙げる企業が多くみられた。例えば、繊維(マイナス8→マイナス30)、化学(7→マイナス2)、鉄鋼・非鉄(マイナス3→マイナス32)では、「自動車関連の需要が減少した」とのコメントがあった。また、電気・電子機械(8→マイナス11)、輸送用機械(47→マイナス23)では、一部の企業が半導体不足を悪化要因として挙げた。さらに、輸送用機械では、ローン審査の厳格化を下押し要因としてコメントする企業もあった。
一方、2023年上期の非製造業の業況感(見込み)は14となり、2022年下期(33)から悪化するもプラス圏内だ。観光客の回復の恩恵を受けた小売り(42→71)、金利収入の増加がみられた金融・保険・証券(25→55)などの業種で業績が改善した。他方、運輸・通信(20→マイナス30)は著しく業況が悪化した。その要因として、輸出の減少、海上運賃の下落、人件費の上昇などを挙げる企業がみられた。
2023年下期の見通しは、運輸・通信を除く全業種でプラスとなり、全体として業況感は改善(マイナス3→26)する見込み。インバウンドの回復の継続、輸出需要の回復への期待などが上向き要因となっている。
(注)業況感DI(Diffusion Index)は、前期と比較して業況が「上向いた」と回答した企業の割合から、「悪化した」とした企業の割合を差し引いたもの。プラスの場合は、前期に比べ業況が改善している企業が悪化している企業よりも多いことを示している。マイナスの場合は、前期に比べ業況が悪化している企業の方が多いことを示している。
(藤田豊、ピンラウィー・シリサップ)
(タイ)
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