中東含む西アジアの2022年の対内直接投資額、前年比13.6%減の483億ドル
(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、レバノン、オマーン)
調査部中東アフリカ課
2023年07月11日
国連貿易開発会議(UNCTAD)が7月5日に発表した「世界投資報告書2023」によると、中東諸国を含む西アジア(注)への2022年の対内直接投資額は483億ドルで、2021年の559億ドルから13.6%減少した。また、西アジアへの対内直接投資額は世界全体の3.7%にとどまっている。西アジアでのグリーンフィールド投資プロジェクト件数は前年比67%増の1,854件だった。西アジアの対内直接投資額の推移は次のとおり。
- 2022年:483億ドル
- 2021年:559億ドル
- 2020年:354億ドル
- 2019年:371億ドル
- 2018年:350億ドル
- 2017年:332億ドル
世界の国別対内直接投資額では、2022年は米国、中国、シンガポールの順で、中東では16位のアラブ首長国連邦(UAE)が上位につけた。UAEは金額では前年比10.0%増で過去最大となった。グリーンフィールド投資のプロジェクト件数でも、前年比84%増の997件で世界4位、投資は活発だった。中東諸国を含む西アジアの金額と順位は次のとおり。
- UAE:227億ドル(前年比10.0%増)
- トルコ:129億ドル(同8.8%増)
- サウジアラビア:80億ドル(同59%減)
- オマーン:37億ドル(同7.6%減)
- ジョージア:20億ドル(同61.1%増)
- バーレーン:20億ドル(同9.7%減)
- ヨルダン:11億ドル(同82.9%増)
- アルメニア:10億ドル(同172.4%増)
- クウェート:7億5,777万ドル(同33.6%増)
- レバノン:4億5788万ドル(同24.3%減)
同報告書によると、UAEでは、オーストリア企業の約18億ドルの病院や大学病院への投資や、韓国企業の約10億ドルのグリーン水素生産への投資が大きかったという。トルコでは、スペイン企業から約15億ドルの商業銀行への投資があった。サウジアラビアでは、石油パイプライン企業に対し、米国や中国、香港などから投資があったという。
対内直接投資額の残高(ストック)では、サウジアラビアが2,689億ドルで最大となり、UAE1,943億ドル、トルコ1,649億ドル、レバノン705億ドル、オマーン496億ドルの順だった。
(注)UNCTAD報告書の西アジアの分類では、アルメニア、アゼルバイジャン、バーレーン、ジョージア、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、オマーン、カタール、サウジアラビア、パレスチナ、シリア、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメンの16カ国・地域が含まれる。同報告書の分類ではイランは南アジアに含まれる。
(井澤壌士)
(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、レバノン、オマーン)
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