中国とニュージーランド、食品安全や農業などにおける協力を強化

(中国、ニュージーランド)

北京発

2023年07月05日

ニュージーランドのクリス・ヒプキンス首相は、中国・天津市で開催されたサマーダボス会議に合わせて6月25日から30日まで中国を公式訪問し、27日に習近平国家主席と、28日には李強首相と会談した。また、中国外交部によると、6月28日付で、両国の全面的な戦略的パートナーシップに関する共同声明が発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。

共同声明には、外交、貿易・経済、国防の分野における最近の対話を基礎とし、食品安全、農業、税関・貿易円滑化、科学技術イノベーション、法執行などにおける協力を強化するほか、文化、スポーツ、教育、航空、観光、地方間交流や学術交流などの幅広い分野で協力を拡大することを盛り込んだ。

また、通商面に関して双方は次のとおり合意したとしている。

  • 2022年の中国・ニュージーランド自由貿易協定(FTA)のアップグレード議定書の発効を歓迎する(注)。
  • 2023年内にサービス貿易のネガティブリストに関する交渉を開始する。
  • 2国間貿易を強化し、電子商取引、サービス貿易、グリーン経済などの分野での協力を拡大し、新エネルギー車に関する対話メカニズムの構築を推進する。
  • 「一帯一路」に関する協力についての意思疎通を維持する。
  • 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の枠組みの下での協力を強調。

さらに共同声明によると、ニュージーランドは、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」について、加入を申請した経済体が同協定の高い基準の要求を満たす能力を示すよう留意するとしつつ、中国によるCPTPPへの加入申請を歓迎するとした。さらに、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)について、ニュージーランドはワーキンググループで進行中の詳細な議論への中国の参加を歓迎するとした。

中国現代国際関係研究院の田京霊副研究員は、環球資訊放送のインタビューに対して、「世界の経済において圧力が高まっている中、中国・ニュージーランド間の経済貿易関係の粘り強さが示されている」と指摘した上で、FTAアップグレード議定書と地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効は、両国間の経済貿易協力のさらなる多様化のための基礎を築いたとの見方を示した(「環球資訊放送」6月27日)。

(注)中国とニュージーランドは2021年1月26日、両国間のFTAのアップグレードに関する議定書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した(2022年4月7日発効、2021年2月12日記事参照)。

(趙薇)

(中国、ニュージーランド)

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