中国、NZとのFTAのアップグレード議定書に署名、中国企業の投資額条件を緩和しCPTPP加盟国並みに

(中国、ニュージーランド)

北京発

2021年02月12日

中国の王文涛商務部長とニュージーランドのダミエン・オコーナー貿易・輸出成長担当相は1月26日、両国で結ばれていた自由貿易協定(FTA)のアップグレードに関する議定書に署名したと発表した(2021年2月1日記事参照)。

議定書では、既存協定の原産地規則、税関プロセス・貿易円滑化、貿易の技術的障壁、サービス貿易、協力など5分野についてアップグレードを行うほか、電子商取引、政府調達、競争政策、環境・貿易の4章が追加された。また、中国の対ニュージーランド投資、ニュージーランドにおける中国語教師や中国語ガイドの就業枠の倍増、化粧品貿易、一部の木材・紙製品の関税引き下げなど4項目の合意文書も盛り込まれた。

物品貿易では、中国はニュージーランド産の一部の木材・紙製品に対する輸入関税を撤廃する。サービス貿易では、ニュージーランドは法律サービス、エンジニアリングなどの分野において開放レベルを引き上げ、中国は航空、建設、海運、金融などの分野でさらなる開放を進める。

投資分野では、ニュージーランドが中国からの投資に対して行う審査の金額条件について、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の加盟国と同等とするとした。具体的には、投資審査の対象となる金額を、既存協定の1,000万ニュージーランド・ドル(約7億5,000万円、NZドル、1NZドル=約75円)以上から、政府投資者による投資については1億NZドル以上、非政府投資者による投資については2億NZドル以上に引き上げる。これにより、中国企業の投資に対する審査の金額条件が実質的に緩和されることになる。

商務部によれば、両国間の貿易総額は、FTA発効年である2008年の44億ドルから2020年には181億ドルに増加し、中国はニュージーランドにとって最大の貿易相手国になっている。また、両国による双方向の投資は累計で83億ドルを上回っている。

今回署名されたアップグレード議定書は、今後、両国の国内手続きを経て発効する(注)。商務部は、同議定書の調印について、両国が連携して新型コロナウイルス感染症に対応し、多国間主義、自由貿易を支持し、世界経済の回復を促進するという国際社会へのメッセージだとした。

(注)商務部の発表によると、議定書の正式な発効の前に、ウェブサイト「中国FTAサービス網外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に原本を掲載するとしている。

(張敏)

(中国、ニュージーランド)

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