大連市、100億元規模の政府誘導マザーファンドを設立

(中国)

大連発

2023年07月06日

6月25日付の遼寧省政府の発表によると、「大連市政府誘導マザーファンド管理弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が公布された。市政府が出資してマザーファンドを創設するもので、主に技術イノベーション、戦略的新興産業(注1)および重点産業分野に資金が投入される。当初ファンド規模は100億元(約1,900億円、1元=約19円)。同ファンドは、市の財政一般公共予算、政府系ファンド予算、国有資本経営予算およびマザーファンド投資収益などから拠出され、政府の財政状況およびマザーファンドが株式を所有するベビーファンド(以下、子ファンド)の設立ニーズに応じて逐次投入される。

同弁法は、マザーファンドの管理・運営方法、出資比率、リスクヘッジ、監督などを規定している。そのうち、管理・運営方法、出資比率の概要は次のとおり。

  • 管理方法:マザーファンドの管理機関はファンド理事会、ファンド管理機関、諮問委員会で構成する。うちファンド理事会はマザーファンドの主管機関として、財政局をはじめとする9部門・企業の常駐メンバー(注2)と商務局などの非常駐メンバー(注3)が担当し、理事長には副市長が就任する。
  • 運営方法:マザーファンドは原則として社会資本との協力により子ファンドを設立・運営し、原則として直接投資を行わない。子ファンドは「エンジェル」「創業投資」「産業発展」の3段階に分けられ、すべての投資ラウンドをカバーする。「エンジェル」は、独創的な技術または重要なコア技術の産業化を実現させるシード段階、スタートアップなどの創業初期段階の企業、「創業投資」はスタートアップ、初期・中期段階の革新的企業、「産業発展」は中後期段階の企業を対象とする。
  • 出資比率:マザーファンドの子ファンドに対する出資比率は、原則として「エンジェル」の40%、「創業投資」の30%、「産業発展」の20%をそれぞれ上限とする。子ファンドに対し省・市・区が共同出資する場合は50%を、市・区が共同出資する場合は40%を上限とし、マザーファンドが最大出資者になってはならないと規定している。

同弁法の施行期間は2023年8月1日~2026年7月31日で、マザーファンドの具体的な実施細則と各種子ファンドの手引は、ファンド理事会により別途策定される。

(注1)戦略的新興産業とは、省エネ・環境保護、新世代情報技術、生物、ハイエンド設備製造、新エネルギー、新材料、新エネルギー自動車の7つの分野。

(注2)常駐メンバーは、大連市財政局、発展改革委員会、科学技術局、工業情報化局、国有資産監督管理委員会、市場監督局、金融発展局、大連市国有金融資本管理運営、大連市国有資本管理運営の9部門・企業。

(注3)非常駐メンバーは、大連市衛生健康委員会、文化旅游局、農業農村局、商務局、海洋発展局、民政局、関連の区や市、県政府など。

(李穎)

(中国)

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