中国税関が日本産輸入食品の検査を既に強化との声

(中国、日本)

大連発

2023年07月27日

中国税関が7月7日、日本からの輸入食品に対して、検査を強化することを発表した。中国政府はこれまでも、日本から輸入した水産品をはじめとする食品全般について、放射性物質検査証明や原産地証明を求めていたが、今回の発表では福島県を含む10都県(注)からの食品輸入停止維持のほか、「その他の日本からの輸入食品、特に水産品(食用水産動物を含む)については、必要書類の確認を厳格に行うとともに、100%検査を実施する」とした。

ジェトロが7月25日に大連市の日系水産品関連企業に行ったヒアリングによると、同社担当者は「中国税関では100%放射能検査を課しているようだ。検査結果が出るまで商品が留め置かれるため、鮮魚の悪化リスクを考慮し、日本側が輸出を止めている。事実上、生鮮品の輸入全般がストップしているとみられる」とコメントした。また、冷凍品についても同様に、「中国税関が放射能検査を外部委託のうえで実施しているため、天津港では通関に(通常は1~2日程度のところ)20~30日かかっている」と述べた。

ジェトロは同日、鮮魚を取り扱う北京市内の日本料理店にもヒアリングを行ったところ、「自社輸入品の深センでの通関が10日ほど遅れたことにより、損失を出した。ほかにも北京市や大連市では急きょ、中国産やアラスカ産、東南アジア産に切り替えて対応している日本料理店が多い」という。

影響を受けているのは水産物だけではない。大連市の日系食品メーカーによると、「7月中旬より通関が厳しくなった。これまで問題なく通関ができていた製品が差し止めやシップバックになる例もある」という(ジェトロによるヒアリング7月25日)。また、大連市で日本酒などを取り扱っている中国のインポーターによると、「大連税関では2022年後半から原産地証明に対する検査が強化されているが、最近は一層強化された印象を受けている。原材料や完成品の産地に加え、輸出港までの輸送経路についての検査も厳格に行われている。輸入禁止となっている10都県を経由した場合は通関できなかったケースが出ている」という(ジェトロによるヒアリング7月25日)。

(注)福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、長野県、新潟県。中国は、日本から輸出される全ての食品・飼料などについて、この10都県産のもの(新潟県産精米を除く)は、輸入停止措置を講じるとともに、日本の政府機関が発行する証明書を求めている。詳細については、農水省の資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照のこと。

(高文寧)

(中国、日本)

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