ロシア政府、外資による売却事業の買い戻し規定を明文化

(ロシア)

調査部欧州課

2023年07月21日

ロシア財務省は7月12日、連邦政府外国投資管理委員会小委員会の議事録外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます第171/5号(2023年7月7日付、ロシア語)を公表した。同議事録は過去の類似の2つの議事録(2022年12月22日付議事録第118/1号、2023年3月2日付議事録第143/4号)をまとめ直したほか、撤退に当たって外資が売却したロシア事業を買い戻す場合の条件を定めた。この議事録の公布に伴い、過去の2つの議事録は失効した。

外国企業がロシア法人の持ち分などをロシア企業に売却して撤退する場合の制限は、2022年12月の議事録で、a.売却価格を独立鑑定人が査定する価格(市場価格)の半額以下にすること、b.売却代金を分割払い(最大2年以内)にする、または売却額の10%を国庫納付すると規定していた。2023年3月の議事録では、c.売却に際して市場価格の5%を国庫納付の義務付け(納付額算定基準の変更)、d.市場価格の10%以下で売却された場合は、市場価格の10%を下回らない金額を国庫納付することなどを規定していた(2023年7月6日付地域・分析レポート参照)。

今回はこれらの規定に加え、撤退した外国企業が事業を買い戻す場合、e.事業譲渡時点の市場価格で買い戻すこと、f.買い戻しは売却後2年以内に行う必要があることも定めた。つまり、撤退した外国企業が次にロシア市場に参入する場合には、売却後2年の期限以内に売却価格の2倍以上の資金を投じる必要が生じる。

そのほか、市場価格の算定は前記の小委員会が認めた鑑定人のみが行うことを明記した(注1)ほか、g.市場価格の算定結果には、特定資格を有しかつ小委員会が認めた専門家による報告書を求めることも定めた。

規制対象となるのはいずれも、日本を含む非友好国・地域(注2)の債権者。債権者自体が非友好国民として登録されない場合も、主な事業や主な利益を得ている場所が非友好国の場合や、非友好国民待遇を受ける者の支配下にある場合なども、同様の扱いになる。

(注1)財務省は2023年2月22日、「市場価格算定に当たって推薦する鑑定人・機関」リストを公表しており、事実上これが小委員会の許可を取得するための鑑定依頼先となっていた。

(注2)欧米諸国を中心に日本を含む49カ国・地域が対象。

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