米自動運転配車サービスのウェイモとクルーズ、サンフランシスコでの展開拡大の採決が7月13日まで延期

(米国)

サンフランシスコ発

2023年07月06日

米国カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は、サンフランシスコ市内で無人の自動運転車(AV)配車サービスを展開するウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)とクルーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)に対して、サービス拡大を許可するか否かの採決を7月13日まで延期すると発表した。複数のメディアが6月27日に報道した。サービス拡大の内容は、2社に対して週7日、1日24時間の商用運行をサンフランシスコ全域で許可するものだ。

CPUCは前週、サンフランシスコ消防士ローカル798、サンフランシスコ警察官協会、サンフランシスコ保安官代理協会からそれぞれAV配車サービス拡大に懸念を表明する書簡を受け取っており、見送りを決めた。3協会の書簡は、2022年4月から2023年5月の間にAVが消防士の活動を邪魔したインシデントが18件あったこと(消防士ローカル798)や、緊急車両の通行を妨げていたこと(警察官協会)、緊急活動の現場に乗り入れたこと(保安官代理協会)などを伝えている。

グーグルの親会社アルファベット傘下のウェイモは2022年11月に、サンフランシスコ市内を含むベイエリアの複数都市でAV配車サービスの実証事業を開始した(2022年12月1日記事参照)。メディア報道によると、同社は現在、市内に約200台を配備している。同社のAVは市内とアリゾナ州フェニックスで週に約1万回走行しており、2023年夏までに走行回数を10倍にすることを目標としている。さらに、6月には配車サービス大手ウーバーと提携し、2023年後半からアリゾナ州フェニックスで自動運転による配車とフードデリバリーサービスの提供を開始すると発表している(2023年6月1日記事参照)。

一方、ゼネラルモーターズ(GM)の子会社クルーズは、ウェイモより一足早い2022年6月から、サンフランシスコ市内の一部で時間を限定したAV配車サービスの商業展開を開始した(2022年6月7日記事参照)。同社は、カスタマイズしたシボレー・ボルトの電気自動車(EV)をカリフォルニア州サンフランシスコ、テキサス州オースティン、アリゾナ州フェニックスに計300台配備しており、サンフランシスコ市内で1日平均1,000回、多い日には2,000回のサービスを提供している。同社は、2025年までにAV配車サービスの売上高を10億ドル以上にするという目標を掲げている。クルーズの配車サービスは現在、規制当局によって市の北西部3分の1の地域に限定されているが、さらなる拡大を目指している。

両社とも拡大に意欲的だが、米国運輸省によると、2023年5月14日までの全米での累計事故件数はウェイモで132件、クルーズで62件となっている。州別に見ると、カリフォルニアでは199件の事故件数が報告されている。

(濱真奈)

(米国)

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