6月の消費者物価指数上昇率、5月よりも減速、業界団体も評価

(イタリア)

ミラノ発

2023年07月07日

イタリア国家統計局(ISTAT)は628日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率速報値)が前年同月比6.4%となり、5月の同7.6%から減速、前月比では増減がなかったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

財のCPI上昇率は前年同月比7.6%(前月:9.3%)、サービスは同4.3%(4.6%)で、両方の価格上昇が鈍化したためと考えられる。

品目別に前年同月比でみると、政府によって価格が管理されていないエネルギー項目(都市ガス、天然ガス、ガソリン、軽油など)で5月の20.3%上昇から6月は8.4%上昇と大幅に減速した。輸送サービスは5月の5.6%上昇から6月は3.8%上昇、娯楽・文化・介護サービスは6.7%上昇から6.5%上昇と速度を緩めた。食料品価格では、主に加工食品が5月の13.2%上昇から6月の11.9%上昇へと減速したのに対し、未加工食品は8.8%上昇から9.6%上昇へと加速し、特にジャガイモ以外の生鮮・冷蔵野菜や生鮮・冷蔵果物で価格の上昇がみられた。

エネルギーと生鮮食品を除いたコアインフレ率は、5月の6.0%から6月は5.6%へ鈍化した。

また、EUの統一的な基準でみたイタリアの消費者物価指数(HICP)上昇率は前年同月比で6.7%と、5月の8.0%から減速、コアインフレ率は前年同月比で5月の6.4%から6月は6.0%となった。

発表を受けて、イタリア商業連盟は628日、6月のインフレ率の速報値は予想を大幅に上回り、素晴らしいニュースだと評価外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。また、インフレ率の低下は、数字上、主にエネルギー部門に起因するが、5月に発生したエミリア・ロマーニャ州での大雨・洪水被害(2023531日記事参照)による供給制限の影響を少なからず受けた可能性のある未加工食品を除けば、年率での減速が全ての消費財やサービスに広がっていることに注目すべきと指摘した。同連盟は今後について、2023年の平均インフレ率が約6%かそれ以下になるとの見通しの信ぴょう性が増しているとした。

(山本千菜美)

(イタリア)

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