ラオスで保税地域の開発規則が発布

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年07月12日

ラオスで「保税地域および免税店に関する政府令(No.212/GOV)(注1)」が、202362日付で発布された。728日から施行される。ラオスにはこれまで保税地域は存在せず、2020629日付改正関税法(No.81/NA)第85条において、初めて保税地域についての条文が規定されたが、詳細は別途規定するとしていた。なお、経済特区で輸出向けの加工を行う工場などは保税ではなく、原材料の輸入時に関税や付加価値税の一時的免除措置を個別に取得する必要がある。

本政府令では、保税地域とは、国内外マーケットへの商品供給や貿易サービスを行うことを目的に、生産、加工、組み立て、分解、包装、充填(じゅうてん)、保管、集配やトランジットなどが可能な地域を意味し、原料を含む商品は関税やその他の税金が一時留保される(第2条)。

また、保税地域は、ラオス・タイ第1友好橋などの10カ所のターゲットポイント(注2)の周辺30キロ圏内に設置すると規定した。ただし、状況に応じてその数を増減させる可能性があり、また、経済特区やロジスティックゾーン、スマートシティなどの内部に設置される保税地域はこれに限定されないとした。

保税地域のデベロッパーになることを希望する企業は、500億キープ(約38,000万円、1キープ=約0.0076円)以上の登録資本金を必要とし、外資企業は最大49%までの出資に制限される(第12条)。また、周囲がフェンスで囲まれた3ヘクタール以上の面積が必要で、X線によるスキャン検査やセキュリティーシステム、電子関税申告システムや倉庫管理システムなど包括的なインフラやシステムの整備が必要とされる(第9条)。総面積の20%以上を公共施設や公園としなければならない(第59条)。

保税地域内への個別企業の入居については、(1)生産・加工・組み立て、(2)貿易サービス(包装、充填、保管、配送やトランジット)、(3)その他の事業が認められる。ただし、外資企業は最大49%までの出資に制限される(第20条)。

保税地域へ保管した商品の保税期間は原則2年間で、さらに1年間の延長が可能。その期間が終了した後は、関税やその他の税務の支払いが必要になる(第44条)。

なお、保税地域としては、首都ビエンチャンで開発が進められているビエンチャン・ロジスティクスパーク(2020年7月13日記事参照)内のロジスティクスセンターや貯油施設の開発が先行している。本政府令により、正式に保税地域に指定されるとみられる。今後、他の地域でも同様な開発が進むのかが注目される。

写真 タナレーンドライポート(ビエンチャン)入り口(ジェトロ撮影)

タナレーンドライポート(ビエンチャン)入り口(ジェトロ撮影)

(注1)ラオス語原文はラオ・トレードポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)(1)ラオス・タイ第1友好橋(首都ビエンチャン)、(2)ラオス・タイ第2友好橋(サワンナケート県)、(3)ラオス・タイ第3友好橋(カムアン県)、(4)ラオス・タイ第4友好橋(ボケオ県)、(5)ボーテン国境(ルアンナムター県)、(6)ルアンパバン国際空港(ルアンパバン県)、(7)ナムパオ国境(ボリカムサイ県)、(8)デンサワン国境(サワンナケート県)、(9)ワンタオ国境(チャムパサック県)、(10)ノンノッキアン国境(チャムパサック県)の10カ所

(山田健一郎)

(ラオス)

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