OPEC、2023年と2024年の石油需要は拡大と予測

(中東、サウジアラビア)

調査部中東アフリカ課

2023年07月14日

OPEC(注)が7月13日に公表した「Monthly Oil Market Report外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の7月版報告書では、2023年の石油需要は前年と比べて日量で244万バレル増加するとの見通しだ。6月版報告書での予測から約10万バレル分を上方修正した。

2024年の石油需要は、2023年と比べて日量で225万バレルの増加となり、世界全体で日量1億425万バレルとの見通しを示した。中国の経済回復と非OECD諸国の堅調な成長を受け、世界のGDP成長率は2023年に2.5%、2024年に2.6%となると予測しており、これにより石油需要の増加を見込んでいる。特に航空輸送の回復と拡大、中国やインド、米国などでの道路交通量の増加により、ジェット燃料やガソリンなどの輸送機器用燃料の需要が伸びるという。

今回の報告によると、非OPEC諸国の石油供給量は2023年に前年比で日量140万バレル増加する。2024年についても、石油需要の拡大と約4,800億ドル規模の開発・生産にかかる設備投資により、2023年と比べて日量140万バレル増加するとの予測だ。一方、OPECプラスは6月4日の会合で、2024年末までの原油減産の方針を発表している(2023年6月5日記事参照)。また、サウジアラビアでは2023年8月まで自主的な追加減産も実施している(2023年7月4日記事参照)。

なお、2022年の石油生産量は世界全体で前年比4.2%増の日量9,385万バレルだった(2023年7月14日記事参照)。

原油価格は、2023年に入ってOPECプラスの複数加盟国による自主的な追加減産を受けて、4月に一時的な上方圧力がかかるも、その後は下落傾向となっている。米国エネルギー情報局(EIA)の統計によると、7月10日時点で米国WTIが1バレル当たり73.05ドル、北海ブレントが77.83ドルとなっている(添付資料図参照)。

(注)イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、ガボン、アンゴラ、赤道ギニア、コンゴ共和国の13カ国で構成。

(久保田夏帆、井澤壌士)

(中東、サウジアラビア)

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