輸出管理法に基づき、商用暗号の輸出管理リストを発表

(中国)

北京発

2020年12月08日

中国の商務部、国家暗号管理局、海関総署は12月2日、連名で「商用暗号輸入許可リスト、商用暗号輸出管理リストおよび関連管理措置に関する公告」を発表した。根拠法の1つには、12月1日施行の輸出管理法も含まれた。

輸出管理法では、管理品目と輸入業者・エンドユーザーについての規制リストを作成し、管理品目やリストに掲載された輸入業者・エンドユーザーに対して輸出を禁止・制限するかたちで管理を強化するとされており、今回の公告に掲載された品目が輸出管理法上の管理品目にも該当するとみられている(2020年10月21日記事参照、注1)。

今回の公告で示された輸出管理対象には、セキュリティチップ、量子暗号設備などの設備および部品、暗号開発やテストに関する設備に加え、関連のソフトウエアや技術が含まれた(添付資料表1、表2参照)。

これら「商用暗号輸出管理リスト」および「商用暗号輸入許可リスト」に記載された商用暗号の輸出入に従事する際はいずれも、商務部に申請しなければならないと定められた。なお、許可証の取得に当たっては、商用暗号の技術説明やエンドユーザーおよび最終用途証明を商務部に提出しなければならない。

商務部の高峰報道官は12月3日の記者会見において、「現在、輸出管理法の関連法規の立法を進めており、管理リストをより整備し、適宜発表する」とした上で、「それまでは、輸出管理に関連する各条例は管理リストの添付としており、現在も有効だ」との見解を示した(注2)。

また、高報道官は輸出管理法に関し、中国で生産を行う外国企業が、輸出管理品目の許可申請の際に、中国政府に知的財産権や商業秘密を含む追加資料を要求されると懸念していることへの見解を問われた際、「知的財産権を含む輸出者の各種の合法的な権益を適切に保障する」とし、外資企業は全く心配する必要はないと述べた。

(注1)2020年1月1日施行の中華人民共和国暗号法の28条においても、「国家安全と社会公共の利益に関連し、かつ暗号化保護機能を有する商用暗号について、商用暗号輸入許可リストと、商用暗号輸出管理リストを発表し、許可・管理を実施する」としていた。

(注2)既存の輸出禁止・制限品目等の関連法規の概要については、ジェトロのウェブサイトの「中国 貿易管理制度PDFファイル(541KB)」に掲載されている。

(藤原智生)

(中国)

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