米FRB、政策金利を0.25ポイント引き上げ、インフレ抑制に向け金融引き締めを維持

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月27日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は7月25~26日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、5.25~5.50%とすることを決定した(添付資料図参照)。引き上げは市場の事前予想どおりで、2022年3月以降11回目となった。引き上げ幅は通常の0.25ポイントで、誘導目標は2001年以来22年ぶりの高水準となった。決定は参加者11人の全会一致だった。

前回会合後にFRBが発表した経済見通しでは、2023年末の到達金利水準として5.60%を示しており、さらなる引き上げの可能性が残る(2023年6月15日記事参照)。一方で、足元ではインフレの鈍化傾向(2023年7月13日記事参照)もみられており、今回FOMCで引き上げ方針の見直しについての言及がなされるかどうか注目されていたが、声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは従来の方向性が維持された。

ジェローム・パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、最近の経済情勢に触れ(添付資料表参照)、概況判断を上方修正した一方、金融政策の決定にあたって重視している雇用情勢と物価については、それぞれ「依然として強い」「2022年半ば以降若干鈍化したが、(インフレ率を目標の)2%に戻すプロセスはなお長い道のり」として前回会合から判断を変更しなかった。この情勢認識の下、「高インフレが、特に、食料・住宅・交通など必需品の費用を賄うことのできない人々に重大な困難を強いることを痛感しており、インフレ率を目標の2%に戻すことに強く取り組んでいく」として、あらためてインフレ対策に重点を置くことを強調した。2023年内の追加利上げの可能性を含めて、当面は現在の金融引き締めの姿勢を維持するものと見込まれる。

(加藤翔一)

(米国)

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