新首都開発計画の第1段階、2024年2月までに8割の完了を目指す

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年07月27日

インドネシア政府が開発を進める新首都「ヌサンタラ」について、新首都インフラ開発タスクフォースのダニス・スマディラガ氏は7月13日、2024年2月までに第1段階の開発(注)にかかる進捗率を80%まで引き上げたいとの意向を示した。

現在、新首都周辺の水の供給を担うセパク・スモイ・ダムの建設が先行して進むほか、大統領宮殿を含めた区画(バッチ1)の進捗率は約34%、2023年5~6月に契約を締結したばかりの区画(バッチ2)の進捗率はまだ1%ほどだとされている(「コンタン」7月13日)。

また、インドネシア国内民間事業者としては、不動産大手パクウォン・ジャティが7月7日、中央行政地区(KIPP)にホテルやアパートを併設した統合型の商業施設を建設予定であることを発表した。同社のアレクサンダー・ステファヌス・リドワン・スヘンドラ社長は「インドネシアの大手不動産会社として、これまで多くの都市で不動産建設に取り組んできた。ヌサンタラでの開発は長期的に利益をもたらすもので、今こそ新首都で建設を開始する時だ」と述べた(「コンパス」7月9日)。そのほか、不動産大手チプトラグループも7月7日、国営建設会社ビナ・カルヤと新首都統合エリアの開発に関する協力協定を締結したことを伝えている(「チプトラグループ・プレスリリース」7月7日)。

6月28日時点での意向関心表明書は256件

ジェトロが7月13日に開催した新首都「ヌサンタラ」に関する日系企業向けビジネスフォーラムにおいて、ヌサンタラ首都庁グリーン・デジタルトランスフォーメーション担当のモハメド・アリ・ベラウィ次官は、6月28日時点で、海外19カ国・地域とインドネシア国内からの新首都開発への意向関心表明書(LOI)が256件提出されているとした。

また、LOIの分野別内訳(添付資料表参照)についても言及し、多い順に「物品およびサービス」35件、「エネルギー」が29件、「テクノロジー」が25件と続いている。

アリ次官は、事業の実現可能性調査(FS)を行う上で新首都関連の具体的なデータを得るためにはLOIの提出に加え、秘密保持契約(NDA)をヌサンタラ首都庁と締結する必要があると述べた。

(注)インドネシアは、新首都の開発計画を5段階に分けている。第1段階は2022年から2024年まで、以降は2045年まで約5年ごとに段階分けされる。第1段階では、中央政府やオフィス街、住宅地の開発が進められ、公務員や軍隊・警察とその家族の新首都への移動が行われる(2022年2月28日記事参照)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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