政府、トウモロコシを含む穀物輸出に優遇為替レートを導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年07月26日

アルゼンチン政府は7月24日、必要緊急大統領令(DNU)378/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、「輸出拡大プログラム」の適用期間と対象品目を拡大した。7月24日から8月31日までの間、一部の農産品の輸出代金を自国通貨ペソに交換する際に「1ドル=340ペソ」の優遇為替レートを適用する。翌25日には、農牧水産庁決議295/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公布され、トウモロコシも同措置の対象となった。今回は、大豆は対象外。

輸出拡大プログラムは、一部の農産品を対象に、公式為替レートよりも有利な為替レートを、輸出代金をペソに交換する際に適用することで輸出を促進させ、外貨準備高の積み増しを狙った制度だ。主な対象品目は、トウモロコシ(1005.90.10)、グレーンソルガム(1007.90.00)、大麦(1003.90.10、1003.90.80)、ヒマワリ(1206.00.90)、ヒマワリ油(1512.11.10、1512.19.11、1512.19.19)、ヒマワリ油かす(2306.30.10、2306.30.90)。アルゼンチン経済省の関係者は、今回の措置により約20億ドルの外貨収入を見込めるとしているが、農業団体側のアナリストは、トウモロコシが加わったことで約33億ドルの外貨収入が見込めると分析している(現地紙「クラリン」電子版7月25日)。

政府は、国内への穀物の供給に影響が及ばないよう、穀物の輸出数量に上限枠を設定した。決議295/2023号によると、2022/2023年度(各穀物の収穫年度)は、トウモロコシは2,600万トン、グレーンソルガムおよび大麦はそれぞれ95万トン、飼料用大麦は260万トン、ヒマワリは14万5,000トン、ヒマワリ油が110万トン、ヒマワリ油かすが115万トンまで。

7月25日付の現地紙「ペルフィル」によると、国内の農業関連団体からは「ルールと国が目指す方向性が明確になっていない、単なる、つぎはぎの措置でしかない」と批判の声が上がった。また、主にトウモロコシを飼料として使っている農家などは、輸出用の優遇為替レートが影響して、国内価格が上昇すると懸念を示している。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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