バングラデシュ、「ジェンダーギャップ報告書2023」で南アジアをリード
(バングラデシュ、南西アジア)
調査部アジア大洋州課
2023年07月05日
世界経済フォーラム(WEF)は6月21日、世界146カ国・地域のジェンダー格差の度合いを評価した調査報告書「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート(世界ジェンダー格差報告書)2023」を発表した(注)。
南アジア地域は、63.4%のジェンダー平等を達成しているものの、調査対象8地域の中で2番目に低いスコアとなっており、WEFは、同地域で完全なジェンダーの平等を達成するには、149年かかるとした。国別では、2016年以降、同地域内でトップの地位を維持しているバングラデシュ(全世界で59位、総合スコア72.2%)を筆頭に、ブータン(103位、68.2%)、スリランカ(115位、66.3%)、ネパール(116位、65.9%)、モルディブ(124位、64.9%)、インド(127位、64.3%)、パキスタン(142位、57.5%)、アフガニスタン(146位、40.5%)と続いた。
バングラデシュは「政治への関与」の分野で躍進し、世界7位、ジェンダー平等率55.2%を達成した。同国では、過去50年のうち29年以上も女性が国家元首を務めており、世界最長となっている。他方で、閣僚(10%)と国会議員(20.9%)に占める女性の割合は比較的低い。
また、「教育の到達度合い」分野の参考指標である「学歴均等率」は93.6%だった。女性と男性双方の「識字率」や「中等教育および高等教育の就学率」が、過去10年間で着実に増加していると指摘されている。
世界146カ国・地域で最もジェンダー格差が小さいとされた国は、14年連続でアイスランドだった。同国は、ジェンダー格差の90%以上を解消した唯一の国だった。2位以下はノルウェー、フィンランド、ニュージーランド、スウェーデンと、オセアニアの1カ国を除き北欧諸国がトップ5を占めた。なお、日本は125位(総合スコア64.7%、2022年は116位)で2006年の本調査以降、過去最低の結果となった。
同報告書では、全世界を総評し、「パンデミック以前の水準への回復の兆しが見える一方で、進展の鈍化に伴い、世界全体でのジェンダー平等の達成は2154年になるだろう」と懸念を示した。
(注)本調査は、「経済活動への参加状況とその機会」「教育の到達度合い」「健康と寿命」「政治への関与」の4分野で、国ごとのジェンダー平等の達成度(パリティ・スコア)を算出している。「0(0%)」が完全に不平等、「1(100%)」が完全に平等であることを示す(数値が小さいほどジェンダーギャップが大きい)。
(寺島かほる)
(バングラデシュ、南西アジア)
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