2023年上半期の自動車生産、前年同期比13.9%増と好調

(メキシコ)

メキシコ発

2023年07月10日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は7月7日、6月の自動車(大型バス・トラックを除く)関連統計を発表した(INEGIプレスリリース7月7日付PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。6月の生産は33万1,707台に達し、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年6月(34万2,854台)とほぼ同水準まで回復した。2023年上半期(1~6月)累計では189万2,635台を記録、前年同期比13.9%と好調に推移している。生産の8割以上を占める輸出も前年同期比11.1%増と堅調、その8割弱を占める米国向けも同10.2%増と2桁の伸びをみせた。2023年に入って半導体不足の問題が解消に向かい、各メーカーとも以前よりは生産調整が必要なくなっている。過去12カ月の生産を累計すると、現時点で354万台を超えており、2023年通年では370万台を超えるとみられる(添付資料図参照)。

企業別に生産台数をみると、1位のゼネラルモーターズ(GM)は前年同期比2.1%減の36万5,462台と減少した。この背景には北東部コアウイラ州ラモス・アリスぺ工場の生産車種を段階的に電気自動車(EV)車種に切り替えるため(2023年1月3日記事参照)、生産ライン変更があるとみられる。2位の日産は前年の不振から立ち直り、44.5%増の30万3,634台と好調、3位のフォルクスワーゲン(VW)グループ、4位のステランティスもそれぞれ11.5%増、18.1%増と2桁増を記録した。日産以外の日系企業では、トヨタが2.5%増、マツダが66.1%増、ホンダが8.1%増と、それぞれ生産を延ばし、マツダの好調が目立った。他方、韓国の起亜は4.3%減と振るわなかった(添付資料表参照)。

国内販売では中国系の躍進続く

国内販売をみると、6月単月では前年同月比25.7%増の11万3,553台と好調、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年6月と比べても6.3%多い。2023年上半期累計では63万3,087台に達し、前年同期比22.1%も伸びた。この背景には、ディーラーへの新車供給の回復が寄与している。2023年上半期に販売された車には、前年下半期に契約されたものが多く含まれている。つまり、新車供給が滞り、引き渡しできずにとどまっていた分が積み重なるかたちで、販売台数が多くなった側面もあるようだ(2023年5月29日付地域・分析レポート参照)。

企業別にみると、1位の日産が前年同期比31.7%増の11万5,762台と好調、2位のGM(8.4%増、8万2,866台)、3位のVWグループ(16.7%増、6万8,894台)と続いた。日産以外の日系企業の販売台数は、トヨタ、ホンダ、スズキ、いすゞが前年同期比で減少したが、マツダ、三菱自動車、スバルは増加した。特にマツダは前年比2.1倍の3万4,525台と好調だ。また、中国系ブランドの販売は2023年も前年同様に好調だ。MGモーターは28.2%増の2万6,188台、国内販売シェア4.1%を確保するに至った。2023年から正式に販売を開始した奇瑞汽車(Chery)も2ブランドで1万8,797台を売り上げた。安徽江淮汽車(JAC)、モーターネーション(北京汽車、長安汽車のブランドを輸入)を合わせると、中国系ブランドの販売合計は5万9,009台、シェアは合計9.3%に達している(添付資料表参照)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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