スリランカ航空、遅延が相次ぐ
(スリランカ)
コロンボ発
2023年07月06日
スリランカのフラッグキャリアのスリランカ航空で、航空便の遅延が相次いでいる。6月20日夜、コロンボ発ソウル行きUL470便の乗務員が離陸前に病気となり、交代要員が見つからずに翌朝の出発となった。この件は国会でも問題として取り上げられた。
6月28日夜には、コロンボ空港を離陸してから2時間後に、機材トラブルのためコロンボ空港に引き返した。この便は定刻の午後7時50分から半日が経過した翌朝午前8時過ぎに、新たな機体に乗り換えて成田に飛んだ。
スリランカ航空は日本航空との共同運航により、成田~コロンボ間の直行便を週3便運航しており、7月末からは週4便に増便予定だ。コロンボ発成田行きのUL454便は遅延が極めて多く、定時(注)に出発した便は4月以降3割に満たない。乗客は余裕のあるスケジュールの確保や早めの情報収集、海外旅行保険の加入や経由便の検討などの対策が必要となっている。
スリランカ航空は6月25日付の声明で、本来18機ある機体が15機に減少しているため、運航スケジュールに影響が出ていると説明している。この機体不足は、部品がスリランカ国内で入手できず、修理に時間が掛かることや、エンジンの世界的な供給不足によるものだとした上で、7月中旬までには解消に向かうと述べた。なお、新型コロナウイルス流行前には320人いたパイロットが現在は257人に減少したものの、運航に必要な要件は満たしているという。
国有企業のスリランカ航空は慢性的な赤字を抱えており、今後民間企業に売却されることになっている(2023年4月6日記事参照)。ニマル・シリパーラ・デ・シルバ港湾、海運および航空相は6月30日の記者会見で、早期の再建に取り組む姿勢を示した。スリランカ財務省によると、累積損失額は6,096億8,200万スリランカ・ルピー(約2,865億5,054万円、1スリランカ・ルピー=約0.47円)に上るとされている。
(注)定時の出発とは、出発予定時刻から15分以内の出発を指す。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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