日本酒市場に商機、地場企業が日本酒ペアリングの魅力を発信

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年07月04日

ベトナムの地場ロータスフードグループ(以下、ロータスグループ、注1)は619日、ホーチミン市内の自社日本食レストランTENKU(天空)で、新たに考案した日本酒ペアリングメニューを発表した。同日、日本酒に関心を持つ卸売事業者や飲食業関係者ら合計20人ほどを対象に、賀茂鶴酒造(広島県)の西村宗蔵氏を講師に迎えて、日本酒3銘柄と日本料理のペアリングの魅力を解説した(注2)。

写真 西村宗蔵氏(中央)、有賀シェフ(右)による日本酒ペアリングの魅力説明(ジェトロ撮影)

西村宗蔵氏(中央)、有賀シェフ(右)による日本酒ペアリングの魅力説明(ジェトロ撮影)

同ペアリングメニューでは、賀茂鶴酒造の3銘柄(大吟醸酒、純米吟醸酒、本醸造酒)と、ベトナム人の好みに合った日本酒カクテルとともに、日本酒の特徴に合わせた日本料理が提供される。

写真 日本酒カクテルと日本料理のペアリング(ジェトロ撮影)

日本酒カクテルと日本料理のペアリング(ジェトロ撮影)

写真 日本料理とペアリングされた日本酒3銘柄(ジェトロ撮影)

日本料理とペアリングされた日本酒3銘柄(ジェトロ撮影)

ロータスグループのレ・バン・メイ社長は「日本酒を度数の強いウイスキーなどの蒸留酒だと誤解するベトナム人が多い。その原因は、日本酒に関する理解不足や認知度の低さであり、ホーチミン市内で本格的な日本酒を提供しているレストランは、日本食レストランの数の割にまだまだ少ない」と指摘。「ベトナム人の好みに合った日本酒ペアリングメニューの提供を通じて、より多くのベトナム人に日本酒の楽しみ方を伝え、日本の食文化を発信していきたい」と意気込みを語った。

写真 ロータスグループのレ・バン・メイ社長(中央)(同グループ提供)

ロータスグループのレ・バン・メイ社長(中央)(同グループ提供)

農林水産物輸出入統計によると、日本からベトナムへの2022年の日本酒輸出額は7566万円に、数量ベースでは693キロリットルに達し、過去最高となった。新型コロナウイルス流行時に輸出が落ち込んだものの、ベトナムの日本酒市場は拡大している(添付資料図参照)。

賀茂鶴酒造の藤原昭典代表取締役会長は「シンガポールやタイに続く東南アジアの進出先として、ベトナムを選んだ理由は、1億人規模の人口で、今後の国内市場の発展に可能性を感じたからだ」と述べ、「2020年にベトナムに輸出を開始してからの3年間は、新型コロナウイルスの影響で身動きが取れなかった。賀茂鶴酒造のお酒は、料理の邪魔をしない味わいが特徴だ。日本酒ペアリングメニューを通じて、より多くのベトナム人に飲んでいただきたい」と話した。

本ペアリングメニューは期間限定で提供される予定で、日本料理とのペアリングを通じて、日本酒がより多くのベトナム人の目に触れ、理解が広まるきっかけとなることが期待される。

写真 ロータスグループが作成したメニュー表と日本酒の紹介文。ベトナム語と英語で作成されている(ジェトロ撮影)

ロータスグループが作成したメニュー表と日本酒の紹介文。ベトナム語と英語で作成されている(ジェトロ撮影)

(注1)ロータスグループは、ホーチミン市を中心に、日本製品の輸入業や食品製造業、外食事業を展開している。

(注2)ベトナムでは、アルコール度数15度以上の酒類の広告規制がある点に留意が必要。

(児玉良平、木原花澄)

(ベトナム)

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