第2四半期のCPI上昇率、前年同期比2.41%、コアは4%超えで推移
(ベトナム)
ハノイ発
2023年07月12日
ベトナム統計総局は6月29日、2023年第2四半期(4~6月)の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比2.41%と発表した(添付資料表参照)。6月単月のCPI上昇率は前年同月比2.00%で、単月のCPIは1月をピークに5カ月連続で低下している(添付資料図参照)。しかし、コアCPI(注1)は1月以降、4%超えが続いている。
第2四半期のCPIを財別にみると、住居(費)、建築材は前年同期比6.03%と上昇率が最も高かった。資材価格の高騰や、5月に値上げした電気料金(2023年5月15日記事参照)などが影響した。ただし、ガスや灯油の価格が下落したため、上昇率は第1四半期(1~3月)を下回った。
上昇率が大きく下落したのは交通(ガソリンを含む)で、前年同期比マイナス8.34%。国内のガソリン価格が前年同期比で24.9%下落し、CPI全体を押し下げる要因になった。
政策金利は3月以降、4カ月連続で引き下げ
ベトナム国家銀行(中央銀行)は2022年の9月と10月に政策金利を引き上げたが、2023年3月から6月にかけ、4カ月連続で引き下げている。7月5日時点でディスカウントレート(公定歩合)は年3.0%、リファイナンスレートは年4.5%。それぞれ3月の利下げ開始前から1.5ポイント引き下げた。
また、国家銀行は利下げと併せ、金融機関に対して貸出金利の引き下げや手数料の削減などを要請。経済活動が停滞する中、企業負担を軽減させ、資金需要を促そうとしている(「VNエコノミー」紙6月29日)。
さらに、ベトナム政府は7月1日から12月31日まで付加価値税(VAT)と国産自動車登録料を引き下げる政策を実施。金融政策と財政政策の両面で景気の下支えを行う姿勢だ。
しかし、2022年のコスト高の原因となったエネルギー価格高騰の一服でCPIは低下しているものの、政策の影響を受けにくいコアCPIは依然として高い水準のままだ。利下げが現地通貨安(ドル高ドン安)やデマンドプルインフレ(注2)を引き起こすことを懸念する声もあり、難しいかじ取りが続いている。
(注1)コアCPIは総合CPIから穀物、生鮮食品、エネルギー、国家管理材(医療・教育サービスなど)を除いたもの。
(注2)需要の増大が引き起こす物価上昇。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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