4~6月期の失業率は2.9%、前期から0.1ポイント改善
(香港)
香港発
2023年07月26日
香港特別行政区政府統計処は7月18日、4~6月期の失業率(季節調整済み、速報値)について、前期の3~5月期から0.1ポイント改善の2.9%と発表した(添付資料図参照)。2~4月期まで12期連続で改善傾向にあり、前期の横ばいから、今期で再び改善した。
業種別にみると、「建築」(前期から0.1ポイント低下の4.2%)、「小売り・宿泊・飲食サービス」(同0.2ポイント低下の4.0%)、「運輸・倉庫・郵便・宅配サービス・情報・通信業」(同0.1ポイント低下の3.2%)、「金融・保険・不動産・専門およびビジネスサービス」(同0.1ポイント低下の2.5%)が改善した。一方で、「貿易・卸売り」(同0.1ポイント上昇の2.8%)、「その他の業種」(同0.3ポイント上昇の3.1%)が悪化した。
年代別では、「30~39歳」(前期から0.1ポイント低下の2.3%)、「40~49歳」(同0.1ポイント低下の2.5%)、「50~59歳」(同0.1ポイント低下の2.9%)、「60歳以上」(同0.1ポイント低下の2.4%)の雇用状況が改善した。一方で、「15~19歳」は前期から失業率が2.6ポイント上昇し、11.2%となった。「20~29歳」(同0.5ポイント上昇の5.5%)も悪化した。
香港政府労働・福祉局の何啟明局長代理は「労働市場は経済回復に伴って改善が続いている」と指摘した上で、今後の労働市場の見通しについて「景気回復の勢いが一層強まり、労働市場は今後数カ月でさらに改善するだろう」との見方を示した。
香港中文大学アジア太平洋ビジネス研究所の名誉研究員の李兆波(サイモン・リー)エコノミストは「今回の失業率2.9%という数字は、完全雇用の達成を反映している」との見方をした一方で、「この数字は他国へ移住した人々の流出(人材流出)の結果だ。優秀な人材と熟練労働者不足に悩む香港は多くの課題を抱えている」と指摘している(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙7月19日)。
(横田覚)
(香港)
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