アジアベルリンサミット開催、アジアとのビジネス連携呼び掛け

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2023年07月06日

ドイツ・ベルリン州政府の本拠地である赤の市庁舎で61216日、「アジアベルリンサミット2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。前身のイベントを含めると1997年から続く同サミットでは、ベルリンとアジア各国のスタートアップや投資家などによる講演やパネルディスカッション、ブースPRが実施された。

今回の重点テーマは「モビリティーと物流」「エネルギー転換とグリーンテック」「人工知能(AI)」だった。ベルリン州のカイ・ベグナー州首相は、同サミットがベルリンと、文化とアイデアの多様性に富むアジアをつなぐ独特なプラットフォームとして、両地域のスタートアップや投資家、企業、意思決定者が集まる重要な拠点になっていると強調した。

ベルリンのエコシステムからは、日本企業も複数参加する先端素材のイノベーションクラスターのInnovation Network for Advanced MaterialsINAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをはじめ、コワーキング事業者のベータハウス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ベルリン経済法科大学が運営するスタートアップインキュベーターベルリン(SIB外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが取り組み事例を紹介したほか、アジアとベルリン発のスタートアップによるピッチコンテストなどが実施された。

写真 ベグナー州首相が開幕のあいさつ(©Sebastian Gabsch | Asia Berlin Forum e.V)

ベグナー州首相が開幕のあいさつ(©Sebastian Gabsch | Asia Berlin Forum e.V)

アジアでのビジネスについてのパネルディスカッションでは、SNSを通じてベルリンのスタートアップエコシステムにウクライナ避難民支援を呼び掛けたことで有名で、電気自動車(EV)用充電スタンド向けのモジュールを手掛けるベルリン発スタートアップのスウォッビー(Swobbee外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のトーマス・デュシャ最高経営責任者(CEO)も登壇し、欧州やアジアでの日本企業との連携可能性の高さを指摘した。

日本の産業界からは、三菱電機国際本部欧州代表の栗田俊治氏がインダストリー4.0に関連する事業を紹介したほか、アジアベルリンのアンバサダーの1人でインファーム(Infarm – Indoor Urban Farming外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の投資家の平石郁生氏がインファームの日本市場参入の経緯やそこから学んだことを語った。行政からは、横浜市、渋谷区、東京都などの日本の自治体がサミットに参加し、ベルリンのエコシステムビルダーたちとのネットワーキング形成が行われた。

また、ベルリンとアジアのイノベーションビジネス交流を促進するため、ジェトロもブースを出展。日本国内の中小企業とデジタルでつながることができるオンラインプラットフォームJapan Streetと、日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出のためのビジネスプラットフォームJ-Bridgeの取り組みに加え、東京都や宮城県のビジネス・投資環境などもPRした。

ジェトロのブースでは、産業分野に加え、食の分野でも新規性や多様性を求めるベルリンに日本食を紹介するため、農林水産物・食品 輸出支援プラットフォーム事業の一環で作成したベルリンをはじめとするドイツ東部と北部の日本食レストランガイドや、ドイツの消費者の理解を深めるための「日本産米」「日本酒」「茶」のカタログを紹介した。

同ブースには、ベルリンでも活動するアジア系の食品バイヤーも訪れ、Japan Streetに登録するなど、デジタル活用に関心を持つ企業も見られたほか、ベルリンでの日本産食品に対するニーズの高さが確認できた。

同じ週に東京都の宮坂学副知事がベルリンを訪れ、東京のスタートアップエコシステムの進化・グローバル化のため、意見交換を行った。

写真 オープンイノベーションとデジタル化、日本食輸出支援、自治体の魅力についてPR(ジェトロ撮影)

オープンイノベーションとデジタル化、日本食輸出支援、自治体の魅力についてPR(ジェトロ撮影)

(小菅宏幸、ダビッド・インメ)

(ドイツ、日本)

ビジネス短信 1ab534520492f58a