シスメックス、インド・グジャラート州に試薬・検査機器の新工場設立を発表

(インド、日本)

アーメダバード発

2023年04月24日

試薬・検査機器大手のシスメックス(本社:神戸市)は4月17日、インドでの中長期的な事業展開と持続的成長を実現するため、グジャラート(GJ)州アーメダバード市近郊のサナンドII工業団地に、新たな生産拠点を設立すると発表した。新設工場での生産品目は試薬と機器で、投資総額は約30億円、2024年度内の稼働を目指すという(同社プレスリリース4月17日付)。

同社は1998年にインドに合弁会社(現シスメックス・インディア、Sysmex India Pvt. Ltd.)を設立して事業を開始した。2008年に同社を完全子会社化し、2012年に尿検査分野、2014年には凝固・生化学検査分野、2019年から主力のヘマトロジー検査分野で直接販売・サービス、サポートを順次展開し、事業規模の拡大と販売・サービスネットワークの拡充を推進してきた。2007年にはヒマーチャル・プラデーシュ州バディに試薬生産工場を設立し、国内顧客向け製品の安定供給体制を整えた。

同社によると、インドは人口規模の大きさと、高い経済成長率を背景に、「ヘルスケア市場」が今後も拡大し、良好な医療アクセスへの需要増加が見込まれるため、医療インフラに対する官民の投資が継続するものと判断したという。今回新たにGJ州に生産拠点を設け、期待されるさらなる検査需要の増加への対応、中長期的に安定的な製品供給を実現するための生産体制の整備・拡充を図る。

ジェトロが「工場新設先にGJ州アーメダバード近郊を選んだ理由」について取材したところ、(1)要件を満たす基本インフラ、人材の獲得、(2)ムンバイにある現地子会社メインオフィスからの距離、(3)神戸市とアーメダバード市の姉妹都市関係など、他地域と比較して優位性があったとの回答があった(4月18日)。

新たな生産拠点では、生産能力と拡張性を持ち、将来の急速な需要増加や生産品目のさらなる拡大への対応が可能となる。また、一部の機器生産、部材調達機能も備えるもよう。高品質・高効率なものづくりはもちろん、工場敷地外への排水ゼロを目指すゼロ・リキッド・ディスチャージ・システムの導入など、地球環境への配慮も基本コンセプトとしている。

(古川毅彦)

(インド、日本)

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