英国、CPTPP加入に向け正式署名、締結に向けた国内手続きへ

(英国、日本、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、ベトナム、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ)

ロンドン発

2023年07月18日

英国のケミ・バデノック・ビジネス・通商相は7月16日、ニュージーランドで、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、注1)への加入に関する議定書に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。締約国のうちマレーシアとブルネイについては現時点で2国間での自由貿易協定(FTA)はなく、英国にとっては初の協定となる。

今後、英国および締約国内で締結に向けた国内手続きが行われ、全ての国での締結後、60日で発効する。署名15カ月以内に全ての国で締結されない場合は、英国および6カ国以上の締約国の締結後、60日で発効する。英国政府によれば、発効は2024年後半を見込むとした。

英国政府はこれに先立つ7月15日、CPTPP加盟国企業の英国での事業活動について報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。2021年時点で加盟国からの対英投資額(残高)は1,820億ポンド(約32兆9,420億円、1ポンド=約181円)で、全体の約9%を占めているとした。報告書の中では日本が主要な投資元とされ、オーストラリアとカナダが続いているとされた。

日本の外務省によれば、英国の対日最終関税撤廃率は99.9%。日本から英国への輸出については、精米(短・中粒種)などの関税撤廃を新たに獲得したほか、建機用タイヤなどについて日英経済連携協定(EPA)よりも早い時期に関税撤廃されるとしている(注2)。例えば、完全精米(短・中粒種、HSコード10063092、10063094)は日英EPAで関税撤廃・削減の対象外だが、CPTPPでは即時撤廃となっている。建機用タイヤ(HSコード40118000)は日英EPAでは協定発効から10年目に関税撤廃とされているが、CPTPPでは即時撤廃となっている。

署名に合わせて、英国はオーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、チリとともに気候変動、環境、持続可能な貿易について共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。同声明では、CPTPPの環境章の実施や運用に関する将来的なレビューの実施、包摂的な貿易および持続可能な開発の支援、環境にやさしいモノやサービスの貿易の促進などに向けて協力することが盛り込まれた。

そのほか、英国政府は国内向けに一部の産業について説明資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公表。同資料では、建設、デジタル・データ、食品・飲料、ライフサイエンス、サービス・投資、製造、消費財分野について、CPTPPのメリットやケーススタディなどがまとめられている。

(注1)CPTPPについてはジェトロ「TPP11解説書PDFファイル(14.3MB)」も参照。

(注2)協定文や英国側の譲許表などは英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます譲許表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のyear 1は2023年1月~2023年12月31日の期間を指す。

(山田恭之)

(英国、日本、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、ベトナム、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ)

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